宇宙最大の「天体爆発」が起きた
ウクライナ戦争が新たな局面に入り、守勢に追い込まれたロシアが核兵器をちらつかせているというニュースが報じられている。1945年8月、日本の広島(6日)に続き長崎(9日)に投下された原子爆弾が最後ではないこともありうると考えるだけでもぞっとする。ところで、最近、原子爆弾の威力とは比べものにならないほど巨大な大爆発が宇宙で起きた。地球から19億光年も離れた場所で星が爆発し、放出された光を観測して分析した結果だ。
ガンマ線バーストと呼ばれるこの現象は、1967年に初めて観測された。当時は米ソ冷戦体制下で、米国はソ連が核実験禁止条約を適切に履行しているのかを監視するため、ガンマ線測定人工衛星ベラ(Vela)を打ち上げた。核実験の際に放出される放射線には、波長が極めて短くエネルギーが非常に強い光であるガンマ線が多く含まれるからだ。ところが、地球ではなく宇宙から来たガンマ線が観測され、天文学者の関心を引いた。
それ以降、数十年の研究の末、ガンマ線バーストの実体が明らかになった。太陽より質量が数十倍大きい星が核融合反応を終えて自らの重力に勝てず収縮しブラックホールに変わる過程、または2つの中性子星が衝突する際に起きる爆発により、ガンマ線が大量に放出されるという。ガンマ線バーストのエネルギーは、太陽が一生(100億年)の核融合で出すエネルギーよりも大きい。
9日に観測されたガンマ線バーストは、降り注ぐガンマ線があまりにも強く、ガンマ線を測定する望遠鏡のセンサーが飽和状態になるほどだった。露出過多で白くなり撮影した対象の形を調べられなくなったフィルムを連想すればよい。したがって、正確な分析はなされなかったが、これまでのガンマ線バーストのなかでは最大の爆発で、太陽が一生に出すエネルギーの1千~1万倍の水準だと推定された。このような爆発は、宇宙全体でも千年に一度起きるかどうかの規模だという。
これまで1日に1件の割合で数千件のガンマ線バーストが観測されてきたが、すべて私たちの銀河の外で起きた。最も近いのは、2017年に観測されたガンマ線バーストで、1億3000万光年だった。もし、今回のガンマ線バーストが19億光年ではなく19万光年、すなわち銀河の間近で起きたとしたら、地球に降り注ぐガンマ線の強度は1億倍になるはずで(距離の2乗に反比例)、その衝撃は途方もないだろう。
10万光年の広さのなかに約4000億の星を含んでいる銀河では、少なくとも100万年に一度はガンマ線バーストが起きるものとみられる。星が爆発する際に自転軸の方向に噴き出す光が地球に向かうケースはさらに珍しいが、それでも45億年の地球の歴史では何回も起きたはずだ。実際、4億4000万年前のオルドビス紀~シルル紀の大量絶滅が銀河で起きたガンマ線バーストによるものだとする仮説を唱えた論文が、2004年に出されたりもした。
数千年前に銀河のある星が命を終えて爆発した際に出たガンマ線が、明日にでも地球に降り注ぐかも知れない(光の速度で来るため、事前には分からない)。そのような確率は極めて低いが、常に宇宙で起きている大爆発の影響で絶滅しうる運命にある人類が、自ら作った武器で先に自滅の道に進もうとしていることは、本当に残念な現実だ。
カン・ソッキ|科学コラムニスト (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます