2度目の緊急事態宣言
地域・期間・自粛対象… 知事・専門家が異論
新型コロナ感染症の拡大で菅政権が再発出した緊急事態宣言で、対象を東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県に「限定」し、期間を1カ月にしたことや、飲食店への自粛要請を柱にしたことに対して、全国の知事や専門家などから異論が噴出しています。
一切説明せず
対象地域について、菅義偉首相は7日の記者会見で、1都3県以外の宣言発出について「そうした状況にない」とはっきり否定していました。
ところが感染状況は急激に悪化。全国では7~8日に、新規感染者数の最多を更新しています。7日には1都3県以外でも、大阪607人、京都143人、兵庫284人を含む20都道府県で過去最高となりました。さらに、8日には大阪、京都、兵庫の3府県が7日に続いて過去最多を記録し、新たに6県で過去最高となりました。
9日の全国知事会の席上では、「何とかぎりぎりで踏みとどまっている感があるが、大変厳しい状況だ」(大村秀章愛知県知事)など悲鳴のような声が上がりました。この中で大阪、京都、兵庫の3府県の知事が政府に緊急事態宣言を要請しました。ほかにも栃木、愛知、岐阜各県の知事も政府への要請を検討。今後、3府県以外にも要請が続く可能性があります。
そもそも、今回の緊急事態宣言そのものに菅首相は後ろ向きでした。菅首相は、先月25日の会見で宣言なしで「(感染防止への国民の行動変容は)可能だと思っている」と述べていました。ところが、1都3県の知事が政府に緊急事態宣言の要請(2日)を行うと、菅首相は4日の記者会見で一転してこれまでの方針を覆して、7日に宣言を発出しました。しかし、菅首相は、その根拠や基準を一切説明していません。
“おひざ元”も
宣言の期間を1カ月としていることについても異論が噴出しています。おひざ元の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、宣言解除について「1カ月未満は至難の業」と指摘。7日の基本的対処方針等諮問委員会では、宣言解除の目安を2番目に深刻な「ステージ3」相当で足りるとしている政府案に対して専門家から懸念が相次いだと言います。
9日の全国知事会でも「ステージ3」相当より「もっと厳しく考えるべきだ」との意見が出されました。宣言解除に、より長い期間を要するとの意見です。
飲食店への営業自粛を柱にしていることについては、京都大学の西浦博教授は、飲食店の時短などに限定した「緩やかな対策」では東京都の感染者数は2月末になっても1日1300人に上るとの試算を公表しています。
この中で、自民党は「Go To トラベル」を宣言解除後速やかに再開するべきだとの考えで一致しています。「経済優先」で、場当たり的な対応が露呈しています。(若林明)
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