韓国政府が日本政府に求めた「誠意ある呼応」は何ひとつ反映していません。これで強制動員問題が解決したとは言えません。

2023-03-07 19:58:08 | 韓国を知ろう

2023年3月6日

声明「歴史に目を閉ざし、

被害者を置き去りにしたままでは解決にならない!」

 本日、韓国政府・朴振外交部長官が「強制徴用大法院判決関連 解決法」を発表しました。

 

 「解決法」として示したのは、①「日帝強制動員被害者支援財団」(以下、財団)が2018年大法院判決の原告に判決金・遅延利子を支給する、②後続措置として、被害者の苦痛を記憶し、継承していくために追慕、教育・調査・研究事業等を推進する、③判決金・遅延利子支払いの財源は民間の自発的寄与などを通じて用意する、の3点。「今後の計画」として、被害者・遺族に「解決法」への理解・同意を求めること、財団への財源用意が確実に進むようにすることなどを打ち出しています。

 

 これを受けて、日本政府・林芳正外相は記者会見で、韓国政府の「解決法」を「日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価」すると言い、「この機会に、日本政府は、1998年10月に発表された『日韓共同宣言』を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認」する旨を表明しました。

 

 被告企業は、この韓国政府の発表について「特にコメントする立場にない」とコメントしました。そして、改めて「請求権協定で解決済み」との見解を明らかにしました。

 

 韓国政府が日本政府に求めた「誠意ある呼応」は何ひとつ反映していません。これで強制動員問題が解決したとは言えません。

 

 第1に、被告日本企業は謝罪もしていなければ、賠償支払いの表明もしていません。被告企業は日本と韓国の裁判で、強制動員し、強制労働を強いた事実、その不法行為責任を認定されています。にもかかわらず被害者に謝罪の言葉さえなく「コメントする立場にない」と他人事のように振る舞っています。

 

 第2に、林外相の「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」との言葉は、「韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えた」という1998年宣言の核心的部分を欠落させています。日本政府は戦時中の朝鮮人強制動員について第一に責任を負うべき立場にあるにもかかわらず「多大の損害と苦痛」を受けた強制動員被害者に謝罪しなかったのです。

 

 このように韓国の財団に賠償支払いを肩代わりさせておきながら加害当事者は謝罪もせず、1円の金も出さない、これで強制動員問題が解決するはずがありません。

 

 日韓両政府は、今回の「解決法」発表により、日韓関係が改善され、発展していくと言っています。しかし、強制動員問題等を解決し、植民地主義を清算するプロセスを進めていかない限り日韓の真の友好は深まらず、関係が発展していくはずがありません。

 

 今回の「解決法」について、生存被害者原告は受け入れられないとの立場を明らかにしています。

 

 私たちは、被害者ととともに、

 

(1)日本政府・被告企業が強制動員の事実を認めて真摯に謝罪し、その証として償いのために資金を拠出し、同じことを繰り返さないための措置を具体的に講ずること、

(2)そのために被害者原告及び遺族との協議の場を設けること、

 

 を求めて運動を続けていきます。

 

強制動員問題解決と過去清算のための共同行動

  https://181030.jimdofree.com/

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 三菱重工業強制動員被害者のヤン・クムドクさん(93)の怒りに満ちた声が光州(クァンジュ)広域市5・18民主広場に鳴り響いた。

2023-03-07 10:09:41 | 韓国を知ろう
 

「飢え死にしても受け取らない」…被害者側、

強制動員政府案に激しく反発

登録:2023-03-07 06:23 修正:2023-03-07 07:07
 
強制動員被害者・遺族代理人団、法的対応も予告
 
 
韓国政府が日帝強制動員被害者賠償基金を国内企業単独で拠出する案を発表したことを受け、6日夕方、ソウル広場でこれに抗議する緊急ろうそく集会が開かれた=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 「悔しくて今は死んでも死に切れない。飢え死にすることがあっても、このようなやり方では受け取らない」

 三菱重工業強制動員被害者のヤン・クムドクさん(93)の怒りに満ちた声が光州(クァンジュ)広域市5・18民主広場に鳴り響いた。6日、韓国政府が日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者賠償基金を国内企業単独で拠出する案を公式発表したためだ。被害者と市民団体はこれに抗議するろうそく集会を開き、国会で非常時局宣言を予告するなど激しく反発した。被害者代理人団も政府案に対抗する法的対応に乗り出す方針であり、市民社会全般にわたる抵抗運動に火がつく兆しが見える。

 同日、ソウル龍山区の民族問題研究所で開かれた記者会見で、日本製鉄・三菱の被害者と遺族を代理する代理人団は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は韓日関係改善という外交的成果を急ぐあまり、被害者に『賠償金』ではなく『寄付金』を受け取るよう不当な選択を迫っている」と批判した。

 市民社会団体も政府案に反発し、今後の行動を予告した。同日午前、外交部庁舎前で記者会見を開いた韓日歴史正義平和行動は、パク・チン外交部長官の政府解決策発表時刻に合わせて、アフリカの伝統楽器であるブブゼラを吹いて大声で叫ぶなど抗議パフォーマンスを行った。韓国進歩連帯のパク・ソグン常任代表は「2015年韓日慰安婦合意当時も国民が立ち上がって朴槿恵(パク・クネ)政権を審判した」とし、「被害者が反対し、最高裁(大法院)確定判決があるのに、何の権利があって尹錫悦政権はこのような妄動を働くのか」と糾弾した。同団体は7日に国会で被害者らとともに非常時局宣言を開き、週末の抗議集会も行う予定だ。

 
 
韓国政府が日帝強制動員被害者賠償基金を国内企業単独で拠出する「第三者併存的債務引受」案を発表した6日午前、ソウル都染洞の外交部前で韓日歴史正義平和行動の関係者たちが緊急抗議行動を開き、政府案の強硬を糾弾している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 政府案の発表に怒りを覚え街頭に出た市民もいた。同日午後7時30分、ソウル広場で開かれた緊急ろうそく集会に参加した会社員のイ・ジヨンさん(35)は、「朝のニュースを見てとても腹が立って集会に来た」とし、「被害者たちがきちんと謝罪も賠償も受けられなかったのに、大統領が勝手に処理して(日本に)免罪符を与えた」と語った。大学生のアン・ジウォンさん(21)は大学の歴史サークルのメンバー10人とともに集会に参加した。アンさんは「被害者の方々がまだ被害から抜け出せずにいるのに、(政府が)明らかに屈辱的な外交を展開することが国民のためとは思えない」と話した。

 日本経済団体連合会(経団連)と韓国の全国経済人連合会(全経連)が共に作ることにした「未来青年基金(仮称)」に対する批判の声もあがった。光州日帝強制動員市民の会などは「被害者と支援団体が2010年7月から2012年7月まで三菱重工業と16回交渉した当時、三菱側が提示した案と同じだ」と指摘した。

 法律的対応も同時に進められる。被害者の代理人団は「第三者弁済」という政府案に同意しない被害者たちのために戦犯企業資産の現金化に向けた執行手続きを引き続き進める予定だ。彼らは「政府の解決策に同意しない被害者に対し、韓国政府が供託などを通じて債権を一方的に消滅させることはできず、もし行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団(財団)が一方的に金銭を供託するならば無効を確認する手続きを進める方針」だと述べた。

 
 
尹錫悦政権が日帝強制動員被害者賠償基金を国内企業単独で拠出する「第三者併存的債務引受」案を発表した6日午後、光州東区錦南路の5・18民主広場で強制動員被害者のヤン・クムドクさんと支援団体関係者たちが政府案を批判する記者会見を行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 代理人団は、被害者との意思疎通を図りながら解決策を導き出したという外交部の態度も批判した。キム・セウン弁護士は「政府は最初から結論ありきで被害者たちに曖昧な説明をしただけだ。政府案に反する意見に対しては返事がなかった」と語った。イム・ジェソン弁護士は「政府案は被害者と財団との国内問題に切り替えようとするようだが、依然として確定判決の権利を行使する方法は多く残っている」と説明した。

 ただし、政府案を受け入れる意思のある被害者の意思も尊重し、彼らに対しては政府との協議を経て債権消滅手続きを別に進めるものとみられる。代理人団の確認の結果、現在生存しているイ・チュンシクさん(日本製鉄)、ヤン・クムドクさんとキム・ソンジュさん(三菱)の3人はいずれも政府案に反対する意見を表明した。キム・セウン弁護士は「ソウルと光州で進められている訴訟原告15人のうち、明示的に政府案に賛成する意思を明らかにしたのは4人で、過半数に満たない」とし、「政府が補償案に過半数以上の被害者が賛成していると発表したことは事実と異なる」と話した。

チャン・イェジ、キム・ヨンヒ、ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする