朝鮮半島平和プロセスのヤマ場の度に、
ボルトン前補佐官が立ちはだかった
登録:2020-06-24 03:14 修正:2020-06-24 08:42
ボルトン前補佐官が立ちはだかった
登録:2020-06-24 03:14 修正:2020-06-24 08:42
回顧録で明らかになった強硬タカ派ボルトン前補佐官の歩み
ジョン・ボルトン前大統領安保補佐官//ハンギョレ新聞社
米国のジョン・ボルトン前国家安保担当大統領補佐官が、朝米会談がヤマ場を迎える度に、朝鮮半島の平和と対話の扉を閉ざしてきたことが明らかになった。彼の回顧録「The Room Where It Happened: A White House Memoir(それが起きた部屋:ホワイトハウス回顧録)」では、南北の和解を妨害しようとする日本政府の立場と一致する米国の超強硬タカ派の姿が随所で現れている。
ボルトン氏は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の朝鮮半島平和プロセスと朝米の非核化会談について、最初から極めて否定的な態度を隠さなかった。回顧録で彼は「すべての外交的舞踏会は韓国が設けたもので、これは金正恩(キム・ジョンウン)や我々の戦略よりも、韓国の統一アジェンダに関連したものだった」と書いた。朝米関係の改善そのものが米国の戦略に合致しないうえ、アジェンダ自体も文大統領に先取りされたという不快感をあらわにしたのだ。彼は、北朝鮮は絶対に核兵器を放棄しないとして、行動対行動方式のアプローチは必要ないという日本の谷内正太郎国家安保局長(当時)の見解と自分の見解が似ていたと記述した。
ボルトン氏は、文在寅大統領が4・27板門店南北首脳会談後、ドナルド・トランプ米大統領との電話会談で、北朝鮮の完全な非核化への意志を強調し、朝米首脳会談と南北米首脳会談を勧めたことについて、「私が後に韓米首脳の電話会談を『死ぬかと思った経験』だと言うと、ポンペオ国務長官が『サウジで対話を聞いているうち、心臓麻痺がきた』と答えた」と書いた。南北、朝米対話そのものに冷笑的で極度の拒否反応を示したのだ。
ボルトン氏が数回にわたり、朝米首脳会談を中止させるため、積極的に動いた事実も明らかになった。彼は2018年6月、シンガポールでの第1回朝米首脳会談前に朝米先発隊の接触が十分に行われなかった点を挙げ、トランプ大統領に「文大統領の訪米前に、朝米首脳会談の取り消しをツイッターに投稿するよう勧めた」と書いた。彼の計画は、トランプ大統領が文大統領に直接聞く姿勢を示したことで、実際には実現しなかった。
シンガポールでの第1回朝米首脳会談後にも、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長とトランプ大統領の会談を止めるための彼の試みは続いた。ボルトン氏は「金正恩が2018年8月からラブレターと呼ばれる親書を(トランプ大統領に)送り、『近いうちに会おう』と提案しており、トランプ大統領も会談を急いだ。同年9月には金正恩をホワイトハウスに招待しようとした」とし、「私はトランプに『つまらない国の独裁者が書いた手紙であり、彼がポンペオ(国務長官)に会うまであなた(トランプ)に会う資格はない』と言った」と記述した。さらに「しかし、トランプは『なぜそんなに敵対感を抱くのか』とし、ポンペオに11月の中間選挙後に金正恩に会うから電話をかけて要請するよう指示した」と書いた。
2019年2月、ハノイでの第2回朝米首脳会談が物別れに終わったことにも、ボルトン氏は決定的な役割を果たした。まず、彼はスティーブン・ビーガン国務省北朝鮮政策特別代表(当時)が北朝鮮と交渉の末に作成した合意文の草案をボイコットした。彼は「私はビーガン代表が作成した合意文書の草案をボイコットした」と述べ、「ハノイに向かう途中、フッカー補佐官から草案を受け取った。米国側の事前譲歩を並べたてる代わり、その見返りとして得られるのは、北朝鮮の曖昧な非核化声明だけという内容が書かれたものだった。(私は)ペンス副大統領やマルバニー秘書室長代行などに連絡し、これを採択できないように根回しも行った」と振り返った。彼は「国務省交渉チームが合意への熱意と広報にこだわったあまり、統制不能に陥っていた」と批判した。
彼はトランプ大統領に合意なしに交渉場を去るという選択肢も事前に注入した。彼は「私はハノイでの予期せぬ譲歩を防ぐため、レーガン大統領が(1986年、ソ連のゴルバチョフとの)レイキャビク会談で(合意することなく)会談場を去る映像を見せた」と書いた。「トランプ大統領は映像を見た後、『私は有利な立場にいるから急ぐ必要はない。(得られるものがなければ)会談場を離れることもあり得る』と述べ、私は大きく安堵した」と付け加えた。朝米合意が実現するかもしれないと、内心ハラハラしていたことを露骨に表したのだ。
ジョン・ボルトン前国家安保担当大統領補佐官の回顧録「それが起きた部屋:ホワイトハウス回顧録」//ハンギョレ新聞社
さらに、ボルトン氏は朝米会談の会場でも、「北朝鮮の核ミサイルや弾道ミサイル、生物化学兵器のすべてに対する基本的な申告が必要だ」と主張した。事前の合意になかった弾道ミサイルと生物化学兵器の申告要求は、会談が決裂するうえで決定的な役割を果たした。結局、当時のロシア・スキャンダルに関する聴聞会にすっかり気をとられていたトランプ大統領は、ボルトン前補佐官の“願い”通り、会談を決裂させた。ボルトン氏は、会談前にも核放棄後に政権が崩壊したリビアモデルを取り上げ、北朝鮮の拒否感を刺激することで、会談を取りやめさせようとした。
回顧録を見たある大統領府関係者は、「ボルトン氏が朝鮮半島の平和の妨害者の役割を果たしたことが回顧録で明らかになった。文大統領が首脳間のトップダウン方式を強調した理由が分かったような気がする」と述べた。
ソン・ヨンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)