えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

ジャングルグルグルだっよーん

2008年11月23日 | コラム
映画『トロピック・サンダー 史上最低の作戦』監督:ベン・スティラー 2008年

―ネタばれ注意―



 ああ、オクタヴィウスだったのか。だらしないふわふわの金髪を肩まで垂らした、バンダナと英国国旗Tシャツが中途半端に似合う鼻だけゴム製みたいな男、
スティーヴ・クーガン。『ナイト・ミュージアム』に、ちっこいオクタヴィウス役で、カウボーイと肩組んでいたきもい笑顔のナイスガイ。この人、本作『トロピック・サンダー』で、ある意味いちばんおいしい役をもらっているとおもう。
 
 『トロピック・サンダー』は、「ベトナムを舞台にした戦争映画」を作るために
麻薬組織の支配するジャングルへ、武装したまま放り出されたがゆえに組織から誤解を受け、結果本当の戦闘にもつれこむさまを描いた映画だ。で、クーガンはこの劇中映画の監督を演じている。つまり、主演のベン・スティラーたちを戦争に放り込む決定を下した張本人なのだ。おい、監督をジャングルに放り出したよこのひと。トドメにジャングルに降り立ち不安げな表情を見せまくる役者どもへいいとこ見せようと、「さあこれからが本当の戦場だ!」(セリフはうろおぼえ)的に、意気軒昂に踏み出した直後、地雷を踏んで映画からリタイア。
 
 あの地雷です。踏むとどっかーん、全身こっぱみじんに消失。おいしい。おいしすぎる。しかもフッ飛ばされた残骸をベンに拾われ、明らかに本物のクーガンの顔よりでかい首を笑顔でぶらぶらさせられる、気のせいか作り物なのに笑顔の浮く首は、明らかにイジラれる楽しみを知っているかのごとくベンにいじりたおされる。ああ、そんなことしちゃだめだってば。

 言ってしまえば、過剰で笑わせる作品とひとことでまとめることもできる。実際、映画を数こなしていないと、監督が狙った意味での笑いを受け止めることはむずかしいだろう。「笑い」に行くには意外と不向きな一本かも知れない。

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