(辰巳ダム流域の地質について)
関先生は、地質によって最終流出率が変わるということを指摘されたので、辰巳ダムの流域の地質に詳しい人に尋ねてみた。
「辰巳ダムや犀川ダムの流域の地質は、新第三紀中新世の堆積岩が主体です。医王山累層及び岩稲累層ともに、火山起源の凝灰岩や凝灰角礫岩が殆どですが、これらは火山岩ではなく、海底で火山が噴火して空中へ放出された火山灰や火山礫が水底に堆積して固結したものです。堆積岩の場合、透水性が小さく、流出率は比較的大きくなります。第四紀の火山岩などでは、空隙が多く、透水性も大きいために、流出率は小さくなります。、、、、、、
0.85位が妥当な値ではないだろうか。」
ということであった。
辰巳ダムの流域は新第三紀と比較的、古い地層であるが、火山岩層ではないので0.7ほどにはならないようである。しかし、0.85としても算定される洪水量は1割くらい減少するだろうから、大きな影響があるのは間違いない。
関先生の話から、貯留関数法自体の問題、挿入する定数の問題など、扱い方によっては誤差が拡大して過大な数値となることがわかる。
さらに、挿入されるデータも問題がある。「実績降雨の引き伸ばし」という操作についても指摘があった。100年に1回というような降雨のデータは無いのが普通である。だから、実績降雨を100年に1回という大きな降雨に引き伸ばして降雨データを作成するのである。辰巳ダム計画でいえば、2日雨量150mm程度の雨を計画の314mmまで引き伸ばすのである。引き伸ばしによっては実際には出現しない降雨波形ができることになるという。
(河川工学の専門家の常識が、気象の専門家の非常識ということで、)時間雨量を単純に対象降雨量に対する実績降雨量の倍数で引き伸ばしているが、自然現象とは異なる。2日雨量が2倍になるとして、雲が2倍になって時間雨量が2倍になるわけでない。時間的にも空間的にも広がる(時間雨量が2倍になるということでない)。
辰巳ダム計画では、平成7年8月30日型実績降雨156mmを計画2日雨量314mmに約2倍に引き伸ばした雨量データで算定した流量1741m3/秒が想定洪水とされている。平成7年8月30日の実績洪水量は、わずか210m3/秒である。約8倍である。降雨の引き伸ばしが2倍だから、洪水量の比も2倍であるなら納得できるが、洪水量の比は8倍にもなる。こんなことはあり得ないとの、先生の指摘であった。
(これについての県の答えは、以下のところにある。全く、答えになっていないが、むずかしく書いてあるので誤魔化される。)
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/kasen/saigawa/qa/q10.html
8倍もおかしいでしょうと質問しているのに、直線的な関係ではなく、非線形(曲線的)な関係にあるから、2倍にならないというのはわかるとしても、8倍が妥当だということは何も説明がない。
(つづく)
関先生は、地質によって最終流出率が変わるということを指摘されたので、辰巳ダムの流域の地質に詳しい人に尋ねてみた。
「辰巳ダムや犀川ダムの流域の地質は、新第三紀中新世の堆積岩が主体です。医王山累層及び岩稲累層ともに、火山起源の凝灰岩や凝灰角礫岩が殆どですが、これらは火山岩ではなく、海底で火山が噴火して空中へ放出された火山灰や火山礫が水底に堆積して固結したものです。堆積岩の場合、透水性が小さく、流出率は比較的大きくなります。第四紀の火山岩などでは、空隙が多く、透水性も大きいために、流出率は小さくなります。、、、、、、
0.85位が妥当な値ではないだろうか。」
ということであった。
辰巳ダムの流域は新第三紀と比較的、古い地層であるが、火山岩層ではないので0.7ほどにはならないようである。しかし、0.85としても算定される洪水量は1割くらい減少するだろうから、大きな影響があるのは間違いない。
関先生の話から、貯留関数法自体の問題、挿入する定数の問題など、扱い方によっては誤差が拡大して過大な数値となることがわかる。
さらに、挿入されるデータも問題がある。「実績降雨の引き伸ばし」という操作についても指摘があった。100年に1回というような降雨のデータは無いのが普通である。だから、実績降雨を100年に1回という大きな降雨に引き伸ばして降雨データを作成するのである。辰巳ダム計画でいえば、2日雨量150mm程度の雨を計画の314mmまで引き伸ばすのである。引き伸ばしによっては実際には出現しない降雨波形ができることになるという。
(河川工学の専門家の常識が、気象の専門家の非常識ということで、)時間雨量を単純に対象降雨量に対する実績降雨量の倍数で引き伸ばしているが、自然現象とは異なる。2日雨量が2倍になるとして、雲が2倍になって時間雨量が2倍になるわけでない。時間的にも空間的にも広がる(時間雨量が2倍になるということでない)。
辰巳ダム計画では、平成7年8月30日型実績降雨156mmを計画2日雨量314mmに約2倍に引き伸ばした雨量データで算定した流量1741m3/秒が想定洪水とされている。平成7年8月30日の実績洪水量は、わずか210m3/秒である。約8倍である。降雨の引き伸ばしが2倍だから、洪水量の比も2倍であるなら納得できるが、洪水量の比は8倍にもなる。こんなことはあり得ないとの、先生の指摘であった。
(これについての県の答えは、以下のところにある。全く、答えになっていないが、むずかしく書いてあるので誤魔化される。)
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/kasen/saigawa/qa/q10.html
8倍もおかしいでしょうと質問しているのに、直線的な関係ではなく、非線形(曲線的)な関係にあるから、2倍にならないというのはわかるとしても、8倍が妥当だということは何も説明がない。
(つづく)