犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

【日々是好日なり】古文書「ミミヲキリ、ハナオソギ、、、」(上)

2023年05月19日 | 日々是好日なり
今回の古文書は、
 鎌倉時代、紀伊国の荘園の農民たちが、徴税の任にある地頭の非法を訴えた訴状
 である。
 教科書でも取り上げられ、有名な文書らしい。
 鎌倉時代、和歌山県の山間部に位置する阿氐河(あてがわ)の荘民が荘園領主(寂楽寺)に訴え出た。
 全文、カタカナ。全部で13か条で第4条に表出の文言がでてくる。
 寂楽寺が地頭湯浅氏との訴訟の場で用いられたと考えられている文書。


【原文】

ヲンサイモクノコト、アルイワ
チトウノキヤウシヤウ、アルイワ
チカフトマウシ、カクノコトク
ノ人フヲ、チトフノカタエセメ
ツカワレ候ヘハ、ヲマヒマ候ワス候
ヲワツカニモレノコリテ
候□人フヲサイモクノヤマイ
タシエイテ候エハ
エウマウノアトノムキマケト候テ
ヲイコメ ミミヲキリ、ハナヲソキ、
カミヲキリテ、アマニナシテ、
ナワホタシヲウチテ、サエナマント
候テセメセンカウセレ候アイ
タヲンサイモクイヨイヨヲソナカハリ
候イヌソノウエ百姓サイケ
イチウチトウトノエコクチ
トリ候イヌ

【漢字文】

御材木の事、或いわ
地頭の京上、或いわ
近夫と申し、かくの如く
の人夫を地頭の方え責め
つかわされ候へば、ヲマ暇候わず候
をわずかに残りて
候□人夫を材木の山い
出しえいて候えば
逃亡の跡の麦播けと候て
追い込め、耳を切り、鼻をそぎ、
髪を切りて、尼になして
縄絆を打ちてさえなまんと
候て責めせんがうせられ候あいだ
御材木いよいよ遅なわり
候いぬその上、百姓在家
一宇、地頭殿え壊ち
取り候いぬ

【現代語訳】
(荘園領主へ納入する)御材木のことですが、地頭が「京上夫(京都大番役 )だ」「近夫だ」と言って酷使されますので、(材木を用意する)暇がありません。わずかに残ったものが材木の山へ行くと、地頭は「逃亡した者の土地に麦播け」といって追い返すのです。「お前らが麦を播かないなら、お前らの妻子共を捕まえて耳を切り、鼻を削ぎ、髪を切って尼のようにして縄で縛って痛めつけるぞ」などとひどく責められますので、御材木の納入はいよいよもって遅くなってしまいます。そのうえ百姓逃亡跡の家を壊してもっていってしまいました。
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