バッハの生誕週に当たる先週、NPRは「Goldberk Week」として、「ゴールドベルク変奏曲」を週を通して特集したようだ。バッハ自身による曲名は「2段鍵盤付きハープシコードのためのアリアと種々の変奏」。不眠症だったカイザーリンク伯爵がお抱えハープシコード奏者のゴールドベルク(当時13歳、バッハのレッスンも受けていた)にこの曲を弾くよう依頼したことから「ゴールドベルク変奏曲」を呼ばれているが、その話は必ずしも事実ではないらしい。変奏曲はアリアのベースに基づいているが、この変奏曲というアイデアはバッハのオリジナルではなく、ヘンデルの「アリアと64の変奏曲」が起源らしい。但し、ヘンデルのベースは8小節だったが、バッハはそれを32小節に長くし、30の変奏曲をより深みがあり洗練されたものにしたそうだ。ヘンデルへの対抗心もあったようだ。この曲が最初に欧米で知られるようになったのは、ハープシコード奏者のWanda Landowskaが1930年代初めにこの曲を録音したことによるらしいが、1955年に当時22歳のグレン・グールドがこの曲の録音で衝撃的なデビューを果たしてから、一般に広く知られるようになった。グールドはこの曲を驚くべきスピードで演奏し、バッハの繰り返し記号を無視し、全体をLP両面に収まる39分以内に短縮したそうだ。この曲の演奏楽器として、ピアノとハープシコードのどちらかがベターということはなく、両方聴くことがお勧めだそうだ。また、今日では色々な楽器で演奏されており、ブラス、ギター、ハープ、オルガン、弦楽奏などによるアリアをNPRのHPで聴くことができる。 ⇒
http://www.npr.org/blogs/deceptivecadence/2012/03/19/148913266/bachs-enduring-enigma-an-introduction-to-the-goldberg-variations、
http://www.npr.org/blogs/deceptivecadence/2012/03/23/148455319/the-goldbergs-remixed
YouTubeにグールドの81年のライブ演奏がアップされている。