【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

加速する時計

2011-08-10 18:55:56 | Weblog

 加齢とともに朝が早くなる、というのは、経験則では「正」のようですが、ではその理由は何でしょう。「先が短い」ことを感知した生命が、残された時間を少しでも有効に使うために、生物時計を加速させて地球の自転を追い越そうとしているのかな?

【ただいま読書中】『大地震! とっさの行動マニュアル』山谷茉樹 著、 廣済堂出版、2011年、1100円(税別)

 最初の「カタカタ」から「グラッ」が来るまでの数秒間、そこで適切な行動が一つでもいいから、できるかできないか、それがその後の生還率を左右する、という発想から編まれた本です。ですから、語られるのは徹底的に“実用”です。一番大事なもの(=自分の命、動く体)を守るそして維持するためにどうするか(=何を捨てるか)。それが状況別にシンプルに語られます。
 実際に数秒間で何ができるか、と言ったら、それは難しい。ただ、場所を移動(状況が変化)する度に「今ここで大地震が起きたら、自分はどうするのが最適か」とちらっとでも考えておくことは、ほとんどは無駄になるわけですが、それでもそのことによって生死が分けられるかもしれません。宮本武蔵が『五輪書』で言った「常に戦いの場にいるものと心得よ」でしょうか。本書でも「もし○○にいたら……」でいろいろなテクニックが語られます。私が参考になったのは、スーパーで買い物中だったら、買い物籠で頭を覆え、という教えです。中に商品が、と思いましたが、それどころではないですよね。今回の地震でも、建物は無事だったが天井の石こうボードが落ちてきて、という事故が何件もあったはず。これは“ヘルメット”がわりが必要です。もう一つ参考になったのは「揺れているときにはじっとしている。その時に『この揺れが鎮まったら何をするか』をしっかりイメージしておくこと」でした。たしかに揺れているときには「こわいこわい」となりそうですが、そこをこらえて「揺れが止まった瞬間に、この経路を通ってあれとこれを持って外に出よう」とか思うだけで、自分を落ち着かせることができ、時間が有効に使えそうです。
 たとえば現在の私の仕事場の環境では、すぐ側に大きな会議用のテーブルがあります。その下はがらんと空いている。だったら、「カタカタ」が始まったら即座にそこに潜り込めば、とりあえず落下物からは身を守れそうです。まあ、そういった発想で常に自分の回りを把握しておくとよいのでしょう。
 さらに地震後の行動も重要です。せっかく大地震の震動から生きのびても、その後怪我をしたり死んだらいけません。帰宅難民となった場合にどうするか、も重要です。今回も路上の“ラッシュ”はすごかったですね。だったら「帰宅しない」という選択肢も考えるべき、と著者は述べます。そして避難所では、心身の健康管理が重要となります。
 この本一冊読んだらそれで安心、というわけにはいかないでしょうが、心の中でシミュレーションをしておくだけでも少しは生還確率が高まるのではないかと思えます。ついでに、帰宅難民になったときに備えて、実際に徒歩での帰宅をやってみます?