【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

熊と基地

2010-11-30 18:45:55 | Weblog
人の領域に現われた熊を射殺した地域に対して「お怒りの電話」が殺到した、というニュースにあきれたのはいつのことでしたっけ。もし私がそんな電話を受けたら「あなたの住む地域を教えてください。こんど熊が生きたまま捕獲できたら、そちらでリリースしますから」と言ってしまいそう。
「自分の思いが満足できれば、誰かが困っていても平気」という点では、沖縄の基地への態度と同じ構造かも。そういった点で、「熊のために山にドングリがなる木を植えてください」と寄付をした人がいる、というニュースにはちょっとほっとしました。効果がどこまであるかは不明ですが、その態度の方に。

【ただいま読書中】『アトランティスの少女 ──ノーチラス号の冒険(2)』ヴォルフガング・ホールバイン 著、 平井吉夫 訳、 創元社、2006年、952円(税別)

10月26日に読書日記を書いた『忘れられた島』の続編です。
やっとたどりついた「忘れられた島」で乗り込むことができたノーチラス号を破壊しようとするとろこで、話が始まります。マイクたち少年がこのまま潜水艦暮らしをするわけにはいかないし、追跡してくるドイツ帝国海軍のヴィンターフェルト艦長の手にこの艦が落ちたら、世界に多大な害を為すことは明らかなのですから。少年たちは英国に上陸し、ノーチラス号は自沈するために行ってしまい、そして第一次世界大戦が始まります。
しかし、チャネル諸島から英国本土に向かう少年たちの前にノーチラス号が浮上します。アトランティスの秘密と共に。
短気が元で起きたトラブルで、ノーチラス号は200mの海底に座礁してしまいました。しかしそこで彼らは驚くべきものを発見します。金属製のドームです。数千年は開いたことがないだろうエアロックを通って中にはいると、中にはガラスの櫃に収められた少女と、それを守っている片目の黒猫が。猫はどこからこのドームに入ったのか、どうやって生きてきたのでしょう。そこにまたもやヴィンターフェルトの部隊が。
不思議なことが続きます。マイクは猫の名前(アスタロス)を知ります。自分の心が四つ足の獣の中に入ってしまう夢を見、さらに、6000mの海底に向かって沈没する船を救うために必要な部品がどこにあるかも突然わかります。ついでですがアスタロスは、水中でも生きることができる猫でした。一体何が起きているのか。マイクは混乱します。アスタロスはため息をつきます。なぜ人間は何かを理解したとたん必ず「しかし」や「どうして」があとにつづくんだ、と。
結局ノーチラス号はヴィンターフェルトに降伏しますが、ヴィンターフェルトはノーチラス号をドイツに渡す気はありませんでした。さらに少女セレナが目覚めます。彼女は、戦慄すべき“力”を持っていました。もしかしたらアトランティス大陸を沈めた“力”を。
ノーチラス号はまた出発します。アトランティスの遺産を求めて、そして、セレナが安全に住める場所を探して。それに失敗したら、第一次世界大戦どころではない災厄が、世界を見舞うかもしれないのです。(サイボーグ009に似た話がなかったっけ?)


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