【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

四百年堤防

2010-11-11 18:36:54 | Weblog
国交省が予算請求で「一年で造るから十二兆円下さい」と言ったら、どうします?

【ただいま読書中】『夢見る宝石』シオドア・スタージョン 著、 永井淳 訳、 早川書房、1969年

養父に虐待されて家を出た8歳の少年ホーティは、カーニヴァルにまぎれ込みます。持ち物は子どもの頃からずっと持っているびっくり箱(中の人形の両目が、きらきらときれいです)。失ったのは左手の指3本(養父のせいです)。奇形者などにまじり、ホーティは小人のふりをして過ごしますが、その何年か、彼は本当に成長が止まっていました。指が再生したこと以外には。
カーニバルのボス「人食い」は不思議な「水晶」の存在を知っていました。おそらくは地球外の生命体で、地球の生命に影響を与えて奇形を生みだす能力を持っています。それは水晶の夢。夢から生まれた異形のもの。
ホーティはカーニヴァルから逃げ出しますが、また「人食い」に捕まってしまいます。そして、静かで激しい闘争。
蟻を食べることで始まった物語は、蟻酸をなめることで閉じます。
本を閉じて感じるのは、実際にカーニヴァルの中を熱に浮かされながら歩き回ったような感覚です。スタージョンのことばはそれ自体が宝石のようなきらめきを持っていますが、それで「宝石の夢」を語ってくれるのですから、私の脳が熱を持つのは仕方がないことでしょうが。