2007年12月のブログ記事一覧(2ページ目)-ミューズの日記
ミューズ音楽館からの発信情報  ミューズのHP  http://www.muse-ongakukan.com/

 



11月27日の「私のバックグラウンド その3」から少し間が空いてしまいましたが、今日はアルゼンチン駐在から帰国してからミューズ設立までの事について書いてみます。

帰国して先ず着任したのはアジア・パシフィック楽器営業本部と言う北米・欧州・日本を除く全世界の楽器営業を担当する部署でした。アルゼンチンもこの部署の管轄でしたので・・・。ここでは鍵盤楽器と管楽器・教育楽器を1年半ほど担当しました。そしてやっとギターを担当している弦打楽器事業部に戻る事になり、ギタードラム営業部長に着任。この弦打楽器事業部とはギター、ヴァイオリン、大正琴の弦楽器とドラム、コンサート打楽器(ティンパニー、スネアドラムやマリンバ)などの商品開発、生産、全世界の営業統括と言う部門です。正に私の一番力を発揮できる部門と言えます。専門分野のギターの知識、全世界相手と言う海外での経験を生かせる所でした。

ギタードラム営業部長と言うのは日本を含む全世界のギターとドラムの営業統括になります。経験の少ない日本の市場も見て回りました。
しかし、2年ほどすると事業部長から「山下さん、設計・開発と生産管理の部門を見てくれないか」と打診がありました。ここは宮仕いの辛いところで、引き受けることにしました。「ギター・ストリング推進部」と言う、名前だけではどんなところか分からない部署です。ここはギター(3種)、ヴァイオリン(サイレントと生ヴァイオリン)、大正琴の弦楽器群の設計・開発と生産管理を行うところです。

設計・開発部門の統括(商品戦略のまとめ、設計、試作品製作)、基礎研究部門との連携、各工場(日本・台湾・インドネシア・中国)の生産管理、製造戦略のまとめ、資材部との連携による材料備蓄計画管理まで幅広い仕事でした。
現行品のサイレントギターは私の在任中に開発されたものです。フラメンコ・スタンダードと言う現行商品の開発時も設計者をスペインに送り、現場フラメンコギタリスト(ビセンテ・アミーゴなど)に試作品の評価をしてもらいました。クラシックギターの試作品の評価にはいろんなギタリストに来てもらいました。鈴木大介さん、エルマンノ・モッテイリエリさん、そしてクラシックギターにピックアップを付けて、コンチェルト演奏時にもオーケストラに負けない音を再現できないかの研究には福田進一さんにもご協力を頂きました。ヴァイオリンに付けるピックアップの研究には葉加瀬太郎さんのご協力も頂きました。ギター工房、ヴァイオリン工房の職人さんの人材確保に他の事業部にも掛け合いに行ったこともありました。イタリアの販社にお願いしてクレモナで勉強している日本人製作家をあたって貰ったこともありました。中国のギター工場、ヴァイオリン工場、ケース工場にも足を運びました。丁度この時期に社内でヴァイオリンを対象に古木化技術(エイジング技術)の研究を木材研究所との連携で行っていました。これをギターに応用できないかも検討しました。エレアコ用の新しいピックアップの研究も他事業部との連携で行いました。細かく書くと限がありませんし、企業秘密に触れることにもなりかねませんのでこの辺にしておきますが、兎に角いろんな、いい勉強をさせて頂きました。

しかし、弦打楽器事業部が管楽器事業部と合併する事になり、私は残念ながらギターの担当から外れてしまいました。そして、社内規定で55歳になると役職定年と言ってライン長から降りる制度がありましたので、55歳を契機に早期退職することにしました。若い頃に抱いていた夢「ギター専門店」を起こすために。そして全財産を投資してこのミューズ音楽館を設立したと言う訳です。ヤマハ時代に刷り込まれた「音楽普及の思想」をギターを核に実践するために。


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皆さん初めまして、こんにちは。
1コ下の記事にもありますが、今年いっぱいでミューズを退社される渡辺なつ実さんのあとに働くことになりました、村田奈々と申します。
このブログを見てくださっている方の中にはもうお会いした方がいらっしゃるかもしれませんね。

学生の身ですので、フルタイムではなく、基本的には平日の夕方、休日に入ることになります。
今現在は、少しずつお仕事の内容を教えていただき、覚えていっているところです。毎回メモ取りまくりです。

音楽については、昔少し鍵盤楽器を習っていた程度でして…コアなお話まではわからないのですが
これからお仕事をしながら勉強していこうと思います。

ではでは、これから宜しくお願い致します。
村田奈々でした。




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こんにちは。渡辺なつ実です。

早いもので、今年もあと少しで終わりですね。
皆さんにとってこの1年はどのような1年だったでしょうか?
私にとっては、この1年はとてもたくさんの変化の年でした。
・・・とか、なんだかしみじみしてしまいますが・・・。

実は、年内でミューズ音楽館を退社することになりました。
皆さんにはいつも温かくサポートして頂き、本当に感謝しています。
今年一杯で皆さんとはお別れですが、今まで本当にいろいろお世話になりました。

このミューズ音楽館にいてたくさんの人たちにお会いすることができたことがとてもうれしいです。本当に、出会いは大切ですね。
お世話になったたくさんの方々に、いまこの場を借りて感謝いたします。この職場を離れるのはとてもさびしい気がしますが、また次に向けて頑張っていきたいと思います。

世の中大変ですが、音楽は一生付き合っていきたいと思える大切なものです。ここで出会った方々も、もちろん音楽を愛する方々ですので、いつもお話しするのが楽しかったです。

名古屋には引き続きいる予定ですので、またお会いできたらいいですね。

みなさん、本当にありがとうございました。

それではお身体に気をつけて、よいお年をお過ごし下さい。

ありがとうございました。

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昨日は第15回名古屋ギターコンクールでした。
私は主催者側の一人として、また協賛会社としての二つの顔をもって朝から準備に臨みました。
このコンクールは1967年に新人ギター演奏会としてスタートし、1992年に名古屋ギターコンクールと名称を変えて今回で15回目となります。私も含めて現会長の酒井康雄さんをはじめ多くの協会役員の皆さんがこの新人ギター演奏会の出身者です。
そして今ではこの名古屋ギターコンクールも全国的レベルのコンクールとして認められるまでになりました。過去の優勝者にはその後内外のコンクールで優秀な成績を収める人、プロとして活躍する人がいらっしゃいます。先日ミューズサロンでも演奏していただいた金庸太さんも1993年の優勝者です。あと20~30年すると現在の参加者が協会役員として主催者側になっているんでしょうね。

さて、一日遅れですが、審査結果をご報告します。

1位:井上仁一郎さん(東京)
2位:山田大輔さん(神奈川)
3位:斉藤泰士さん(埼玉)
4位:志野文音さん(鹿児島)
5位:大野元毅さん(東京)
6位:生田直基さん(愛知)

と上位入賞者はいずれも関東の人たちでした。

私も審査集計の場に同席していましたが、コンクールの審査は難しいですね。特に1位と2位の差は僅差でした。またゲスト審査員の福田進一さんが総評でも述べていましたが、真面目にきっちりと弾いていても面白さに欠ける演奏と一つ二つ間違いや変な所があっても面白い演奏との二つに分かれるとの事。難しいですね。

閉会の辞でも述べさせていただきましたが、最高位を獲得できなかった人、本選に残らなかった人、二次予選に残れなかった人、そしてエントリーもしなかった人、全ての人が来年も、又は来年はエントリーされて日頃の練習の目標、励みにしていただければと思います。

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昨日『第3回世界の銘器展』が無事終了しました。大勢の方にご来場頂きました。ありがとうございました。今年は今までで一番多い38本の銘器が揃いました。

今年改めて感じましたが、ギターの音には大きく分けて2種類の音がありますね。一つはギターの音、もう一つは楽器の音。言葉で説明が難しいですが、「これはいいギターだね!」と言うものと、「これはいい楽器だね!」と言う違いとでもいいましょうか。朝青龍の事件で横綱の品格が問われていますが、後者のギターには品格があるとでも言いましょうか。分からんですかね?

それと今回は大変貴重な体験をさせていただきました。あるお客さんが1963年のハウザーⅡ世で殆ど未使用のギターを持ってきてくださり、展示品のハウザーⅢ世2001年と新作、そしてロマニロス新作を弾き比べることが出来ました。今どきこんな殆ど未使用の1963年のいハウザーⅡ世なんて存在するんですね。これはある有名ギタリストが所有していたものだそうです。
さて、弾き比べの結果はと言いますと、ハウザーⅢ新作が44年も前に製作されたⅡ世の楽器と非常に似た音だったんです。作り方は大分変わって来ていますが、血筋と言うのは恐ろしいと言うか、凄い!Ⅱ世の方が少し音が太いんですが、音色と言い、音の分離性といい非常に近いものがあるんです。
恐らく44年間弾き込んでいたら違った音になっていたでしょう。60年代のハウザーを何本も見ていますが、そんな音になっていたと思います。と言うことは、ハウザーⅢ世の新作も弾き込んでいくと60年代のハウザーⅡ世の様な音になるかも知れませんね。

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