消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

世の中捨てたもんじゃない

2013-09-06 23:45:58 | 消防・救急
昨日は9件。雨も降りましたが、それも午前中だけ。後は曇りつつも雨はやんでくれました。

このところの集中豪雨や竜巻による被害に遭われた方、お見舞い申し上げます。


我が街でも風水害出場するぐらいの大雨が降りました。そんな中1件目の出場はいきなりPA連携によるもの。

通報時CPA(心肺停止状態)が疑われるため消防隊と同時出場しましたが、災害ポイントは道路上。あれ?と思いましたが、聞いてみれば交通事故により負傷者の意識が確認とれないためにCPAを疑ったものでした。

第2報によりCPAではなかったんですが、事故の形態からロードアンドゴーも考慮。現着してみれば道路上に倒れている状況でした。

その時の天気も強烈な雨。視界も悪いしまだ警察も到着しておらず交通整理も行われていないまま。気をつけないとこちらも二次災害に巻き込まれてしまうような現場でした。


雨も強烈でしたので早く車内収容したい。でも、身体に受けた衝撃も大きいと推測されるので現場できっちりバックボードに固定したい。

消防隊も同時出場していたのでマンパワー的には十分でしたが、この事故現場には近くの会社の従業員の方が数名いました。その方々にも多大なお手伝いを頂いた事案。

私達が着く前に事故の負傷者に寄り添い、身体を包んでいてくれてた。雨に濡れないよう、数人がかりでシートを持って雨が直接当たらないようにしてくれていた。

事故の状況も目撃されていたとのことでしたので、状況を聞きつつ同時進行で現場での最低限の処置にあたる。

せっかく雨よけのようにしてくれていたので、もう少しだけそのままご協力をお願いして車内収容。病院へと向かいました。


意識はあり、受け答えもできてはいる。しかし、事故のことははっきりとは覚えていない。

強い雨の降る中、道路上で動けない中で不安もあったと思う。事故を起こしてしまった人は動揺してしまい何もできない状態。

でも、そこで見ず知らずの人がそばに寄り添って雨に濡れないようにしてくれていた。路面に直接触れないように身体を包んでくれた。

そんな行動が、負傷者にとってはすごく勇気づけられたんじゃないかと思っています。


数ある救急現場に出場していて、時に野次馬にイライラすることも多々ある。あまりの無関心に無性に腹が立つこともある。

こういった協力的なことよりもはるかに、非協力的・無関心なことが多すぎるぐらいなのが現実なんですね。

でもこの交通事故の事案に出場して、まだまだ世の中捨てたもんじゃないのかなって。まだまだ世の中『情』はあるんだな、とも思いました。

私にとっては、これが普通であり当たり前だとは思っているんですが、どうも世の中そうはいかないようで…。


結局我が街に強烈に降った雨はこの事案の時だけ。後は晴れたり曇ったり。

もうちょっと早く雨がやんでくれれば…とも思いましたが、この雨がなければこのように思うことは無かったのかな…と感じました。


救急現場では処置や観察を優先したためにあまりはっきりとお礼も言えませんでしたので、この場で改めて。

おかげ様でスムーズに、また事故に遭われた方の心も救われたのかなって思います。本当に、どうもありがとうございました!



明日は休み。

自動車ディーラーに車の点検に行ってきます