消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

救急機関員

2013-09-28 23:26:26 | 消防・救急
前回の当番は9件。昼間はのんびりペースだったのですが、終わってみればだいたいいつもと同じぐらい。夜は寝られませんでした。

それでもずっと消防署に帰れないと言う感じなのは無くなったかな。やっぱり過ごしやすい気候だと救急出場件数も少なくなってくる傾向にあります。

また寒くなってきたら増え始めてくるんでしょうけど…


さて先日、消防隊の後輩が救急隊に乗っての1当番。普段私が機関員をやってますが、この日は消防隊の後輩に機関員を任せて私が後ろの患者室に乗る。

しかしこの後輩、今年から予備の機関員(正規の人が休みや研修等で不在の場合、代わりに運転)となり、まだ実際に機関員として勤務したのは数えるほど。

ただ運転するだけならさほど問題はないのですが、緊急走行となると話は別。

交通の流れに逆らって運転するわけですから、危険もやはり伴うし、先を読んだ運転もしなければならない。それに救急車の場合は基本的に具合の悪い人を乗せているので、乱雑な運転も避けなければなりません。消防車などとは違った運転技術が救急機関員には求められるのです。


先ほど登場した彼は前述したように、まだ機関員としての勤務も数えるほどであり経験値は少ない。

長いことやってれば掴んでくるようなコツも感覚も、あるいは危険を予測する能力もまだ備わっていない。

路面が悪い中でのバウンドや、カーブを曲がる時の遠心力、ブレーキの加減はある程度目をつぶった部分はあります。でも、横に乗っていた隊長には結構言われてたみたいですけど…


CPA(心肺停止)の場合など、重症患者を乗せている場合は隊長も後ろに乗ってしまうので、前一人でスイッチ操作して安全確認して、時にマイクで喋らなくちゃいけない。

でも、そうそう1人で運転して病院まで行かなければいけないことって無いもので、大多数は隊長が横に乗っている。なので、隊長と意思の疎通はしっかりした方が良いよと言うアドバイスをしました。

具体的には、○○の信号を曲がって行く、○○の交差点を右(左)に曲がる、反対車線に出る、2車線の道路であれば間を抜けて行くなど。

時に赤信号の交差点に進入することもありますので、ちゃんと認識してるよと言う確認の意味も込めて、赤信号に入りますって声を出したり。

混雑してれば迂回して行こうと言う場合もあるし、違う目線でアドバイスくれたりもするだろうし。危なければ止めるだろうし。

とにかく自分がどういう風に動くかを伝えた方が良いよと言う自分の経験からのアドバイスを。後ろにも聞こえるような大きい声じゃないくて良いから、声に出して伝えること。

現に私も実際にやっていることですしね。


交差点進入時のスイッチ操作、マイクでの避譲指示などは隊長席(消防の世界では一般で言う助手席を隊長席と呼んでいます)に乗ってる人がやってくれるし。

仮に隊長が後ろに回ってしまったら機関員一人でやらなければなりませんが、それに集中して運転がおろそかになってしまったら意味が無い。

マイクで喋るのは一番最後、右(左)に曲がると言う音声はウインカーと連動してるし、交差点に入る、救急車に道を譲って下さいと言うアナウンスもスイッチ一つで出てくる。

まずは運転をしっかりすること。そしてある程度慣れて、緊急走行の走り方が分かってきたらスイッチ押してアナウンスを出せば良いし、もっと余裕が出てきたら具体的な指示が出せるようにマイクで喋れば良い。まずは、事故を起こすなと言うことを最優先に。


この日の勤務は、夜中からは役割を交代しました。私が機関員、後輩が後ろの患者室に。

元々彼は救急隊員じゃないし、まだまだ経験の少ない機関員でいつもと違う緊張感もあって疲れもあっただろうし。

これから体力的にきつくなってくる夜中の時間帯で、リスクも高まってくる頃でしたしね。


誰でもいつかはやらなければいけないこと。それでも私と比べれば環境が良いはず。

この経験を糧に、また伸びてくれれば良いなと思っています。いつかは彼も指導する立場になるのだから。


明日は仕事です