紫草(日本ムラサキ)の記

日本ムラサキの紫根は輸入品に頼っています。薬用また、染料として国産紫根の生産普及、流通を期待しています。

日本ムラサキ、栽培サイクル

2017-09-09 15:10:03 | ムラサキの栽培
「秋苗の育苗について」
日本ムラサキの栽培方法では2年物の収穫が一般的な理解になっている様である。
しかし、残念ながら2年間の栽培サイクルは何時から始まるかが不明である。
普通には、春先に種を播き夏に花を見て、秋に種を収穫し1年目をカウント。
翌年、前年の株からの新芽の勢力のある様子に大いに期待し秋になっての収穫を予定する。
まるまる2年間の栽培期間を念頭に置く事になる。多くの失望は、この栽培サイクルの判断にある。

次の写真の紫根は4月に新芽が伸び始めた時に掘り出した。定植してから10ヶ月目で掘り出した事になる。
5ヶ月前、前年の晩秋11月に収穫した紫根と大きさは変わらない。つまり、半年でこのサイズまで生育した訳である。



2年目の複数の枝が伸長して前年より早く、しかも沢山花が咲き、期待は更に大きくなる。花が早く咲くので、種も早く取れるが、この時期に紫根を収穫する事は誰もしない。
葉が傷み枯れる枝が出て来て、紫根の収穫を思い立つ事になる。


前掲の紫根と同時期に栽培していた株である。前年の株からの茎立ちが多く、花は5月に咲き6月に入って、茎や葉の傷みが出たので掘り出した紫根である。まだ、紫根には赤みが残っている。しかし、新しい根はほとんど見られない。4月に共に掘り出すべきであった。


更に1ヶ月後、梅雨時を経て、残りのムラサキの枯れ株を掘り出してみると根は腐敗していて形を保てない状態となる。
苗を定植してから13ヶ月目である。発芽してからの生育期間をカウントしても15ヶ月である。

つまり、2回の梅雨時を経て収穫する事は不可能である事が判る。春苗は晩秋か、保存期間を含めて春先には収穫を終えないと紫根が痛んでしまう。実質、定植後半年の生育期間となる。
秋苗も定植は春先となるが、既に根は3mm の太さまで生育しており、定植時期に枯れる心配もない。収穫は春苗と同じである。
発芽してからの生育期間をカウントすると19ヶ月、ほぼ1年半の生育期間となるのである。
暑さや乾燥に強く、寒さにも強いムラサキである。しかし2年目の梅雨を避ける栽培サイクルが求められる。



秋苗の5〜6ヶ月間育苗後のサイズである。
栽培地域にも因るが最近は高温多雨の気象条件となり、ムラサキ栽培にとっては心配もあるが逆手に取って、温暖な地方では秋に定植して翌年晩秋に収穫時期を迎えることが可能かも知れない。
寒冷地でも地域によって越冬方法があるので秋苗からの栽培サイクルが可能であろう。

   
「はるとあき つゆどきにらみ なえをうえ」
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本ムラサキ、秋苗の準備 | トップ | モミジアオイと藍染め »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ムラサキの栽培」カテゴリの最新記事