それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

バレンティーナの百面相

2012-06-06 23:58:31 | イギリス生活事件簿
バレンティーナの表情を観察するのが好きだ。

彼女の表情はコロコロ変わる。

今日、ラケルとバレと3人で飲みに出て、そしてバレの友達ふたりと一緒にいた。

この友人たちはイタリア人男子(名をロベルトという)と、フランス人男子(名をヴァンという)。

僕はイギリスで久しぶりにフランス人を見た。

フランス人の男の子ヴァンは以前、僕のフラットのパーティに遅く来て、アレックスのワインを飲み、ドアを破壊した一味のひとりだ。

彼はまだ若く22歳。しかし口髭を生やしているものだから、大人びて見える。

けれども、目がクリンとしていて愛らしい。

長めの黒髪に、やや細見の体。

イギリスでの彼のおばさん人気は凄いという話で盛り上がっていたが、とかく可愛いなのである。

全くどうしてなのか、彼はバレにアプローチしており(まあ、遊びだと思うが)、バレのイギリスでの人気ぶりは全く僕には謎なのである。

アプローチされている時のバレの顔が僕は好きだ。

相手がヴァンのように幼くて、それほど相手にしない時の彼女の顔は、色々な男を相手にしてきた大人の女の顔であり、男を牽制する凄味がある。

やはり、この顔が出来るのが彼女の実力だ。

男を振り回すには、この牽制が出来なくてはいけない。

今日は珍しく、友人らにもらった煙草をふかし、いよいよ大人の女然としている。

もはや、ちょっとだけ悪い女の顔である。

対して、アレックスといる時は何というべきか、小娘のように天真爛漫でとにかく甘えた顔をする。

ちなみに僕と一緒にいるときは、本当にリラックスしていて、普通の素の顔である。油断している!僕に対する認識が伺える。

これは全く邪推だとは思うんだけど、クリスといる時のバレの最近の顔は、少しクリスを持て余しているような感じがする。

僕はこういう女性の顔をよく知っている。

そして、少しだけ胸が切なくなる。

ちなみに、ラケルの顔はいつも誰に対してもそんなに変わらないのだが、彼女がもしも恋愛に真剣になったらどんな顔をするのか、僕は少しだけ興味がある。

彼女があの冷静さと気丈さみたいなものを振り乱すようなラテン系の恋をしているのは、正直まったく想像できないのだ。