アレルギー・自己免疫疾患に有効?!免疫寛容をもたらす『ミヤリサン(酪酸菌)』とは?
昨年、東京大学と理化学研究所の共同研究で、『17種のクロストリジウム属菌(酪酸菌)に、制御性T細胞を誘導させる働きがある』(=アレルギーや自己免疫疾患の改善に繋がる可能性)という研究内容が発表されました。
クロストリジウム属菌には、体内で蛋白質分解によりアンモニアを産生する悪玉菌も存在していますが、中には蛋白質非分解の酪酸菌も存在しており、治療を行ううえではこちらを選ぶことが重要になります。
処方薬の『ミヤBM細粒』もしくは市販薬の『ミヤリサン』などには、蛋白質非分解の酪酸菌が使用されているため、安全に治療補助製剤として使うことが出来るといわれています。
以下では、その詳細について見て行きたいと思います。
善玉・悪玉2種類がある『酪酸菌』
酪酸菌(クロストリジウム属菌)とは、人の腸管内常在菌で、酪酸を生成する働きを持ちますが、善玉菌と悪玉菌の2種類が存在します。善玉菌としては、『宮入菌』が良く知られており、悪玉菌の代表としは『破傷風菌・ボツリヌス菌』など神経毒を産生する菌なども存在します。
また、苛酷な環境に非常に強く(100℃でも生育する、また強酸・強アルカリ・乾燥条件下では一旦休眠し、環境が改善してから活動を再開する)、経口摂取でも腸管内に生きたまま到達することが分かっています。
<乳酸菌との共存は?>
宮入菌などの酪酸菌は、ビフィズス菌・乳酸菌の発育を助ける働きをもっていることが知られています。
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自己免疫疾患では、善玉酪酸菌が減少している?!
東京大学と理化学研究所の共同研究で、『17種のクロストリジウム属菌(酪酸菌)に、制御性T細胞(Treg細胞)を誘導させる働きがある』という研究内容が発表されました。
自己免疫疾患である炎症性腸疾患患者群の糞便では、健常者に比べ17種の菌が有意に低下していることが報告されています。以下はマウスによる実験の詳細です。
◆マウスへの17種の酪酸菌の投与と腸炎抑制実験
【実験内容】培養した17菌種をマウスに投与すると、大腸のTreg細胞の数が増加し、腸炎・下痢が有意に抑制された。
<酪酸にはどのような効果がある?>
また、酪酸菌によって産生された酪酸・プロピオン酸(短鎖脂肪酸)は、動物実験において以下の生理活性作用があると報告されています。
◆腸管粘膜のエネルギー源として利用され、水分吸収を促進
◆腸管上皮細胞の増殖促進
◆炎症性サイトカインの抑制作用等による抗炎症、抗潰瘍作用
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近年、理化学研究所の研究で、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸...
臨床試験について
<酪酸菌のアレルギー疾患に対する臨床試験(ミヤリサン製薬株式会社)>
◆過敏性大腸症候群患者への酪酸菌製剤投与試験
【試験内容】乳酸菌・ビフィズス菌の減少、および悪玉菌であるクロストリジウム属菌の増加が確認された、過敏性腸症候群患者(30例)に酪酸菌製剤を投与する。
【結果】酪酸菌製剤投与後には、健常人ボランティア(30例)と同程度に腸内細菌叢が改善
された。
◆酪酸菌投与による炎症性腸疾患の防御作用
【実験内容】炎症性腸疾患を生じさせたラット(デキストラン硫酸塩投与による)に、酪酸菌製剤を投与する。
【結果】潰瘍・炎症の面積の縮小、MPO(酸化ストレスマーカー)活性の低下、浮腫の顕著な抑制作用が確認された。
◆化学療法剤投与により崩れた腸内細菌叢のバランスの早期改善
【実験内容】化学療法剤を投与し、腸内細菌叢の異常・短鎖脂肪酸の減少を生じさせたラットに酪酸菌(宮入菌)を投与する。
【結果】腸内細菌叢の早期に回復が確認された。
上記の臨床試験の結果ように、善玉酪酸菌の継続投与により、腸内細菌叢の改善・免疫細胞性の腸管炎症の改善・サイトカイン抑制・免疫寛容促進などの作用があることが有力となってきています。
また、この酪酸菌投与に加え、ビタミン様物質『ビオチン』を併用投与することで、『掌蹠膿疱症』が寛解となった例も多く報告されていることから、その他の自己免疫疾患治療の補助療法として非常に期待が持たれています。
昨年、東京大学と理化学研究所の共同研究で、『17種のクロストリジウム属菌(酪酸菌)に、制御性T細胞を誘導させる働きがある』(=アレルギーや自己免疫疾患の改善に繋がる可能性)という研究内容が発表されました。
クロストリジウム属菌には、体内で蛋白質分解によりアンモニアを産生する悪玉菌も存在していますが、中には蛋白質非分解の酪酸菌も存在しており、治療を行ううえではこちらを選ぶことが重要になります。
処方薬の『ミヤBM細粒』もしくは市販薬の『ミヤリサン』などには、蛋白質非分解の酪酸菌が使用されているため、安全に治療補助製剤として使うことが出来るといわれています。
以下では、その詳細について見て行きたいと思います。
善玉・悪玉2種類がある『酪酸菌』
酪酸菌(クロストリジウム属菌)とは、人の腸管内常在菌で、酪酸を生成する働きを持ちますが、善玉菌と悪玉菌の2種類が存在します。善玉菌としては、『宮入菌』が良く知られており、悪玉菌の代表としは『破傷風菌・ボツリヌス菌』など神経毒を産生する菌なども存在します。
また、苛酷な環境に非常に強く(100℃でも生育する、また強酸・強アルカリ・乾燥条件下では一旦休眠し、環境が改善してから活動を再開する)、経口摂取でも腸管内に生きたまま到達することが分かっています。
<乳酸菌との共存は?>
宮入菌などの酪酸菌は、ビフィズス菌・乳酸菌の発育を助ける働きをもっていることが知られています。
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東京大学と理化学研究所の共同研究で、『17種のクロストリジウム属菌(酪酸菌)に、制御性T細胞(Treg細胞)を誘導させる働きがある』という研究内容が発表されました。
自己免疫疾患である炎症性腸疾患患者群の糞便では、健常者に比べ17種の菌が有意に低下していることが報告されています。以下はマウスによる実験の詳細です。
◆マウスへの17種の酪酸菌の投与と腸炎抑制実験
【実験内容】培養した17菌種をマウスに投与すると、大腸のTreg細胞の数が増加し、腸炎・下痢が有意に抑制された。
<酪酸にはどのような効果がある?>
また、酪酸菌によって産生された酪酸・プロピオン酸(短鎖脂肪酸)は、動物実験において以下の生理活性作用があると報告されています。
◆腸管粘膜のエネルギー源として利用され、水分吸収を促進
◆腸管上皮細胞の増殖促進
◆炎症性サイトカインの抑制作用等による抗炎症、抗潰瘍作用
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臨床試験について
<酪酸菌のアレルギー疾患に対する臨床試験(ミヤリサン製薬株式会社)>
◆過敏性大腸症候群患者への酪酸菌製剤投与試験
【試験内容】乳酸菌・ビフィズス菌の減少、および悪玉菌であるクロストリジウム属菌の増加が確認された、過敏性腸症候群患者(30例)に酪酸菌製剤を投与する。
【結果】酪酸菌製剤投与後には、健常人ボランティア(30例)と同程度に腸内細菌叢が改善
された。
◆酪酸菌投与による炎症性腸疾患の防御作用
【実験内容】炎症性腸疾患を生じさせたラット(デキストラン硫酸塩投与による)に、酪酸菌製剤を投与する。
【結果】潰瘍・炎症の面積の縮小、MPO(酸化ストレスマーカー)活性の低下、浮腫の顕著な抑制作用が確認された。
◆化学療法剤投与により崩れた腸内細菌叢のバランスの早期改善
【実験内容】化学療法剤を投与し、腸内細菌叢の異常・短鎖脂肪酸の減少を生じさせたラットに酪酸菌(宮入菌)を投与する。
【結果】腸内細菌叢の早期に回復が確認された。
上記の臨床試験の結果ように、善玉酪酸菌の継続投与により、腸内細菌叢の改善・免疫細胞性の腸管炎症の改善・サイトカイン抑制・免疫寛容促進などの作用があることが有力となってきています。
また、この酪酸菌投与に加え、ビタミン様物質『ビオチン』を併用投与することで、『掌蹠膿疱症』が寛解となった例も多く報告されていることから、その他の自己免疫疾患治療の補助療法として非常に期待が持たれています。