森男の活動報告綴

身辺雑記です。ご意見ご感想はmorinomorio1945(アットマーク)gmail.comまで。

ふと気がつくとなくなっていたこと

2014年11月16日 | 模型の話題
今回のテーマはガレージキットについてです。これはファインモールドとグムカの五式中戦車。

この前、「一昔前ならガレージキットにしかならないようなアイテムが、今ではインジェクションキットになっていて感慨深い」といったようなことを書きました。

私はいわゆる「AFVモデル氷河期」に模型にはまりだした世代で、今でもなんか変な欠落感・飢餓感が根底にあるような気がします。「欲しいアイテムのキットなんて基本的にないものだ」というような。タミヤMMでいえば、新製品なんて全然出ないし旧作も絶版ばかりという状態からのスタートでした。ドイツ物の最新作はいつまでたってもデマーグで、出たと思えば休息セットでずっこける(いいキットですけどね)。死ぬほど欲しかったⅢ号戦車やロシアンフィールドカーは店頭で見たことがなく、棚に見つけて飛び上がる夢をみるほど(いや、ほんと)。なので、今でも店で見かけるとつい買いそうになります(笑)。

そういう飢餓感を埋めてくれてたのが、いわゆるガレージキットでした。私がお金を比較的自由に使え、かつそこそこのものなら何とか組めるようになったころ、インジェクションキットの代わりに、ガレージキットが充実してきていました。インジェクションキットはぼつぼつ出るようになってきていましたが、まだまだメジャーアイテムばかりで、その隙間を高価なガレージキットが埋めているような感じでした。時期的には90年代半ばから2005年くらいでしょうか。

どうしても欲しいアイテムが出れば、高価でもヒイヒイいいながら買ってました。なんせ、ガレージキットは一度買い逃すともう手に入らないのが基本です。いつでも手に入るものなら、すぐ買わなくても我慢するだけでいいのですが、二度と手に入らないものは、その時にお金があってもなくてもなにがなんでもとにかく買うしかないわけです。なんといいますか「貧乏への道は趣味で舗装されている」という感じでしょうか。古本もそうですが、ほんと因果な趣味だと思います。

で、御察しのとおり今となっては自宅の棚の一部は後悔の鉄底海峡と化しております。因果だなあ、、、。というわけで、その海底をちょっとだけ探訪してみます。

まずはこれ。イエローキャットの特二式内火艇

当時はもうこれしかなかったので、飛び付きました。脚周りはちょっとキツイので、ファインの95式も買いました。ま、こういうのはいわゆる破産コースという奴ですね。「こんなのインジェクションキットになるわけないから、気長にボツボツ作ろう」と思ってたら駆逐艦「香港」の魚雷を受け轟沈パテが痛々しい、、、。完成させてあげたいけど、もうね、ちょっとね、、、。

こちらは、モデルビクトリアのフィアット・トポリーノ
軍用車、というよりビンテージカーですね。これも当時は「こんなのインジェクションキットになるわけないから、買っとこう」と大枚はたいて購入。で、戦艦「田宮」の砲撃で轟沈。えーっと、田宮の約4個分ですな。「田宮のはシムカだから違う!」と強弁しても無駄ですね。でも、このキット、ほんとよく出来てて素晴らしいです。ボディのドンガラは一体抜きで、裏側もばっちり。どーやって抜いてるんだろ、、。このメーカーのキットは、どれもほんと素晴らしいです。精密でありながらどこか手作りの温かい感じがします。これはいつか作るつもり。「ローマの休日」のビネットにしたいです。まあ、思ってるだけですけど。

こちらはボークスの九五式軽戦車。これは私が買ったのではなくて、大先輩のお宅に遊びに行った際「もう作らないからあげるわ」とお土産にいただいたもの。

世代的に、私よりちょっと上の製品ですね。発売時モデグラで作例が紹介されまして、喉から手が出るほど欲しかったのですが、まだまだ買えなくてほぞを噛んだキット(そんなのばっかだなぁ、、、)。なので、とても嬉しかったです。この場をお借りしてお礼申し上げます。

キットは、とてもよく出来ています。キッチリ作れば今でも多分通用します。当時は感涙物だったのではないでしょうか。この頃に、これが出たということ自体にも価値があるような気がします。車体は驚きの無垢一体成型ですが、フォルムやリベットなどのディテールもしっかりしています。パーツはランナー仕立てで、キャタピラはメタル、小物パーツのモールドもくっきりしています。未開封なので貴重です。資料としてちゃんと保存しておきたいですね。

トリはこれ。グムカの五式中戦車。こちらも素晴らしいキットです。アルミ製砲身、インジェクションのキャタピラと転輪、メタルパーツ多数、というガレージキットの頂点といってもいいほどの豪華な内容。でも、就役直後に重巡「ファインモールド」の急襲を受け轟沈、、、。

結構なお値段で、かなり思い切って買ったので、当時はショックでした(だってファインのキットが4個買えるんだもん)。が、冷静に見直してみると、とてもいい雰囲気のキットで、買って良かったなあと思ってます。いや、マジでファインの五式と並べてみるとわかりますが、とてもよく出来ています。さすが、という感じ。でもちょっと印象が違います。模型の面白さのひとつに「同じものを違うメーカーが作ると、違うテイストになる」というのがありますが、これがまさにそれですね。グムカテイストの五式も見てみたいので、もったいがらずにいつか作ろうと思ってます。

このグムカ五式のキット化は何年にも渡って進められており、お店のサイトで進捗状況がたまーに報告されていて、私は楽しみに読んでいました。キットも「そのうち出るんだろうなー」という感じでのんびり待ってました。ほんの少し前のことですが、今ではちょっと考えにくいですね。今はなんでもスピードが早くなって、目が回るような感じですから、、。

思い返してみると、このグムカ五式あたりがAFVモデル界の転換点だったような気がします。このころまで、レジン製フルキットがある意味ステイタスみたいになっていたのですが、中国を主体としたインジェクションキット攻勢が始まり、流れが変わったような印象があります。あのころは個人レベルでコツコツ作られたいいものが時々でてきて、高くてもキッチリ買う人がいる、というゆったりしたいい時代だったように思います。

で、今回、久々にガレージキットの箱を開けて検分してみると、なんかやっぱりいいんですね。ほっこりします。なんといいますか、作り手の情熱とかアイテムへの愛情が伝わってきます。本格的な機材をつかうインジェクションキットに比べると、どうしても手作り感が残るからでしょうね。ガレージキット好きとしては、いつか自分も何か製品にしてみたいなあ、とも思ってます。「せんしゃん」はその練習でもあるんですね。実は(笑)

というわけで、やっぱり1回で終わりませんでした。続きます。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昭和は遠くなりにけり | トップ | オニごっこ »
最新の画像もっと見る