
はい、これは何でしょう(答えは結構後に!)
というわけで、今回は岡山大学とその周辺に残る日本陸軍第十七師団駐屯地の遺構のレポートです。前々回の日記にチラッと書きましたが、私は2015年11月22・23日に岡山の模型クラブ「未完成チーム」さんの展示会にお邪魔しました。その際、同会のD会長が、展示会初日に遺構の見学会を企画されまして、私も参加させてもらいました。
駐屯地の敷地は、岡山大学のキャンパスと重なっています。といいますか、駐屯地跡に岡山大学が建てられたようです。なので、大学とその周辺には師団の施設があちらこちらに残されています。駐屯地には、師団司令部や歩兵第五十四連隊、騎兵第二十一連隊、広島陸軍兵器補給廠倉庫など、多種多様な部隊や施設がありました。範囲が広いので、車に乗って見学しました。参加者は展示会のゲストにこられたF社のS社長、未完成チームのD会長、土佐模型クラブのN会長とM会員、スケビにコラムを連載されているT女史、未完成チーム会員で中四国AFVの会の名司会で知られるO氏、そして私という、よく考えるとかなり模型濃度の高い(笑)メンバーでした。
まずは衛兵所。現在は大学の施設として利用されています。

こじんまりとしてますが、とてもいい雰囲気です。
こちらは第十七師団司令部。これまた大学の施設として使われているようで、内装は新しくなっているような感じ(入れないので想像です)でした。

補給廠のコンクリート塀。補給廠には近くのJR線路からの引込み線があったそうで、これだけ高いのは荷解き場を隠す「目隠し塀」として作られたためではないか、といわれているそうです。

塀の近くに門柱だけが残ってました。

こちらは塀の内側。とても頑丈に造られているように見えます。遺構の塀は、現在も塀として機能(敷地の仕切り、ということですね)していました。

同じく大学構内のレンガの建物。二棟ありました。こちらも大学施設として使われています。たしか、看板に講義棟と書いてあったような(間違ってたらすいません)。

素人が見ても、かなりしっかり造られているということがわかります。

窓も今の目で見ると、とても凝った創りですねえ。

おおっ!こんなところにもトマソンが(笑)レンガが同じものっぽいので、埋めたのは軍の施設だったころでしょうね。几帳面に埋めているのがさすが軍隊という感じがします。

こちらは馬小屋跡。跡、といいますか今も馬術部が使ってます。そういうのって、なんかとてもいいですね!写真に撮るのを忘れましたが、ちゃんと馬がいました。

屋根がちょっとうねってるのが素敵です。
というわけで、次は大学を出て近所の施設に参ります。
これは「騎兵第二十一連隊将校集会所」。移築され、現在は地元の公会堂として使われています。

こじんまりとしてますが、なんとなく落ち着いた品のある建物です。
集会所の入り口。と窓。


質素ながら、それなりに凝った造りに見えます。集会所、というのはサロンみたいな感じだったんでしょうかね。騎兵将校が集まって、優雅にお茶会でもやってたんでしょうかね。それにしても「騎兵将校」って、なんかかっこいいなあ、、。
こちらは集会所の壁の下の空気穴。中央に陸軍のシンボルマークの五芒星が!粋ですねえ。

下駄箱も当時ものかな?と思いましたが、騎兵将校なら必ずブーツでしょうし、そもそも土足だったでしょうから、違うでしょうね。でも、使い込まれ方がいい感じ。

そしてさらに移動して、岡山県総合グランドに向かいます。
グランド内にあるのが、「岡山偕交社」。偕交社というのは、戦前に陸軍将校の互助・親睦のために作られた組織のことです(今もありますが、系統的には別組織のようです。ちなみに海軍には「水交社」があります)。将校用の軍装品の販売や、会合の会場として利用されたとのこと。

今はグランドのレストハウスとして利用されています。
建物は1910年のもので、二度移築されたとのこと。と明治期の建物なので、洋風ですね。窓からなにから凝った造りで、豪奢な印象。

こちらは門柱。「なんとか様式」(笑)という奴ですね。いやー、お金かかってますねこれは。

門柱の彫刻もなんだか凄い。でも、ペンキを塗り重ねすぎて何の彫刻なのかいまいちわかりません。

でも、凄いのはわかりますね。
屋根裏の明り取りの窓がいいですね。こういう屋根裏部屋、あこがれます。

こちらは足元の空気穴。ただの穴ではない、という感じ。

これは勝手口(と思う)。よーくみると、必要以上に凝ってますね。屋根のひさしの下の半丸ととんがりは、要るのか?(笑)

レストハウスなので、嬉しいことに中にも入れます。一階は普段喫茶店らしいのですが、この日は結婚披露宴が開かれていました。お邪魔虫ではありますが、二階にはあがってもいいそうなので、お言葉に甘えさせてもらいました。
階段が実に渋い!素敵!ドレスのお嬢様が優雅に降りてきそうな感じ。でも写ってるのはお嬢様ではなくてO氏。

階段の手すりは、頭がくらくらするくらい凝ってます。金かかってますねー(さっきから金のことばっかやな、自分)。

こういうの、今作ったら大変なことになるんでしょうね。「ほら、これ見てよ」と指をさすS社長。何かというと、、

先ほどの五芒星がここにも!おしゃれですねえ。陸軍はやぼったいというイメージがありますが、そうでもないんだなあ、という感じ。まあ、ここは正確には陸軍の施設ではないのですが、まあそれでも。

階段から床を見たところ。こういう使い込まれた感じって、ほんといいですよね。100年の重み、といいますか、、。

二階の天井。左側が部屋になっています。天井が変な途切れ方をしているので、二階すべてがワンフロアのホールだったのを、後で壁で仕切ったのかも。

こちらが部屋の中。会議とかに使われてるみたいです。天井が高いですね。ここで舞踏会とかやってたんでしょうかね(先ほどから発想がベタで貧困である)。

すべてが豪奢な感じではあるのですが、よくよく見ると、やはり長い年月を感じずにはいられないです。これは窓枠のアップ。なかなかのヤレ具合です。ペンキの厚みが凄いですね。でも、どこか美しさを感じます。

こちらはドアの上の彫刻。素晴らしすぎます!どんな職人さんが彫ったのかなあ、、、。

窓は上にスライドさせる方式です。よく見ると、枠にワイヤーと滑車が着いていました。ゆっくり上げ下ろしするのと、途中で止めるためのものですね。なるほど。こういうのって、間近に見ないとわからないんですよね。

というわけで、日本軍と古い建物の好きな私にとってはたまらない見学会でありました。何でもそうですが、こういうものは実際に見ると非常に得るものが多く、有益なひとときでした。そして、これらを見学していてとてもいいなあ、と思ったのは、どの建物も今もちゃんと使われている、ということでした。ずっと昔に作られた建物が、連綿と人々の思い出の場所であり続けているというのは、ほんと素晴らしいことだと思います。
最後に、今回、この見学会を企画され丁寧な案内をしてくださったD氏と、運転手を快く引き受けてくださったO氏に心からお礼申し上げます。