~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

初女さんと石牟礼さんの「食はいのち」

2018-04-23 17:56:57 | 日記

生活クラブの「生活と自治」に、作家で写真家の

藤原新也さんが石牟礼道子さんのことを

書いていました。

藤原さんは、石牟礼さんとお会いするまで、彼女は

水俣病の闘争に参加されているので、社会問題と

闘う作家というイメージを持っていたそうですが

お会いすると、自分の存在を消すかのような優柔な

佇まいをされ、お声は包み込むような優しさがあり

お顔は、常にほのかな微笑みを絶やさなかった

石牟礼さんに、彼女は多くの艱難(かんなん)と

怒りをご自身の中で消化されたに違いないと

感じたそうです。

対談が長丁場となり、お体がご不自由な

石牟礼さんにご負担をかけてはいけないと、

昼食をとりに出ようとすると、「お食事は

ここでされて下さい」と、台所に立たれ暫くして

「名物のサバの無塩(ぶえん)寿司をと思ったの

ですが、新鮮なサバがなかったもので」と

言われて、桜エビとチリメンジャコの混ぜご飯を

出してくれたそうで、それが何か母親が作る

”おまんま”の風情があり、その味がまたこよなく

優しく、口に含んだとき、明媚な自然に接した

ように五感が満たされたのだった。と藤原さんが

記していました。

この文章を読んで、初女さんの優しい味の

お料理が思い出され、恋しくなりました。

味の記憶というのは、ダイレクトにその人と

繋がる気がします。

初女さんは「食ほどストレートに心を伝える

ものはないと思っています」と言われてました。

きっと、石牟礼さんもそのことを十分わかって

いたのだと思います。

石牟礼さんの本を読んでいると、書かれている

お料理が食べたくなってしまいます。

無塩寿司もそうです。

私は、無塩寿司というのは食べたことがないの

ですが、無塩サバを見つけた時には、

石牟礼さんの本にあったサバだ!と迷わず

買いました。

石牟礼さんのお父さんも料理が上手な方だった

ようです。

初女さんは、おばあさんから教わったことも

多かったと聞いています。

食は、教えなくても舌によって受け継がれて

行くのでしょうか…

初女さんは「食べることほど、力になることは

ないのではないかと、思っています。

食材は体に入り、わたしたちのいのちと一緒に

生涯生き続けていくことになるからだと

思います。

食こそいのち、食はいちばん伝わりやすく

深いもの。

苦しみを抱えていた人が一食ごとに元気に

なって行く姿を見るたびに、私はそう感じるの

です。」と、書かれています。

亡くなった人を思うとき、料理の味が

リアルに、その人を感じさせてくれます。

そして、その味に近づきたいと調理する時に

その人と一体になるような気がします。

初女さんの本をひらいたら

「食はいのち 生活の基本

       佐藤 初女」と書かれた

サインが目に飛び込んで来ました。

「食はいのち」

初女さんは実践を持って、そのことを生涯

伝え続けていました。



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