1981年に名車となるホンダ「CB1100R」が登場するのですが、このマシンはあくまでプロダクションモデル(市販車レースのためのモデル)で、世界販売5.000台というものでした。
そこからさらにホンダが耐久レースなどの為に開発したレーシングマシン「RS850R」をベースとして市販用に開発しのが、今日ご紹介するこの「VF1000R」です。
いわゆるそれまでの並列4気筒エンジンから、ホンダ特有のV型4気筒エンジンへ移行した初期のモデルで、のちの「VFR750R」や「RVF750」系のご先祖に当たる車両でもありました。
またホンダの「大型レーサーレプリカ」としても「量産もの」としては初のモデルだったと考えられます。で、その登場は1983年からで、各社が本格的に「レーサーレプリカ」を
登場させ始めた初期時代のものとも言える感じです。しかもその内容は「素晴らしく」当時、大型スポーツでも100psを目指す時代にあって、既に122psと言う巨大なパワーを誇っており、
ホンダお得意となるカムギアトレインの採用や、5速かならなるクロスミッションや、ラジアルタイヤ(チューブレス)、アンチノーズダイブフォークにフォローティングディスクブレーキなど、
随所に最新と言える技術を詰め込んだ豪華な仕様となっていました。その為、量産ながら当時の新車価格で250万円と、同時期に販売されてた「VF750R」の3倍の価格で売られていました。
これは、その後の状況を考えると後に登場する名車で限定車となる「VFR750R(RC30)」や「RVF750(RC45)」と同じ意図で作られたモデルであったとも言える気がしますよね。
で、さあ、この「VF1000R」をベースに世界の市販レースで「ガンガン勝ちまくるぞ!」と思ってた矢先、悲しいかなレースのレギュレーションが、同年1983年より大幅に変更され、
4気筒エンジンを搭載したモデルは750ccまで、2気筒で1.000ccまでと、それまで曖昧だった排気量規定がキッチリ変わってしまいます。また当時のアメリカ大統領だったレーガンさんが
アメリカ製が売れず「日本車ばかりアメリカで売れる」と懸念し始め、突如としてオートバイに関しても「700cc以上の輸入車に関しては45%の課税を設ける」と法律を変えてしまいます。
そもそもアメリカを基本マーケットとして開発されたこの「VF1000R」にとっては、レースだけでなくそれも痛手となり、あらゆる意味で「行き場を失ってしまう」事態となってしまいます。
ここで1つ、市販レースをあまり知らない人からすると古い時代に1.000ccモデルがあって、その後750ccのレーサーになるのってどうゆう事?って思ってる人も結構いると思うのですが、
実はこう言った時代によって「レースのルールが変わってしまった」事が、その後の排気量を大きく変化させる事となって行くんですよね(笑)。もちろん2000年以降に関しては、
また変更されて4気筒エンジンなら1.000ccまで、2気筒エンジンなら1.200ccまでとなり現在に至っています。だから現在のスーパースポーツ(SS)は全て1.000ccモデルなんですよね。
それだけでなく重量規制や、パワー&トルク規制もあるので、技術的にどこまでも上げれるテクノロジーを持っていてもそれを「上回る事が出来ない」といった事情もあったりします。
なので、例えばカワサキの「H2」がありますが、あれば1.000ccエンジンにスーパーチャージャーを搭載してる為、レースで使用することは出来ません。あくまでカワサキが自社の
テクノロジーはここまで出来るんだぞ!とアピールしてるだけのオートバイになります。なので、あくまで目的は一般道を走るだけか、非公認のレース参戦だけになりますからね。(笑)
色々書きましたが、最後にこの「VF1000R」の現在の中古市場を見てみますと、大体安いもので80万円あたりから、高いもので250万円前後で取引されています。
この価格差はあくまで状態の良し悪しで決まってる感じで、年式はあまり関係ない様です。また相場として高い車両ではありますが「CB1100R」や「RVF750」などと比べると安いです。
当時の新車価格が250万円だった事を考えると、そこまで途轍もないプレミアはついていない感じですが、当然球数も少なめで探すとなると時間が必要になりそうですね。
さて、今日はそんな不遇の名車?「VF1000R」でしたが、いかがだったでしょう!(笑)
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