これは読み進むのがとても辛いが、関係者の努力に頭が下がる。
敗戦時、つまり大日本帝国の滅亡-国が無くなるのと等しいともいえる事態だ。その時、外地に660万人もの日本人がいた(軍隊353万人、一般邦人306万人)。敗戦と同時に現地人や参戦していたロシア人などが一般人にも襲いかかってくる状況下、やっとの思いで引き揚げ船で戻ってきた。
その引上げ港の一つ佐世保の浦頭埠頭には139万人余が上陸した。その中には、ソ連兵などにより陵辱を受けた女性が多数いてその救済(当時違法とされた堕胎-400~500人-、それに性病治療)に当たったのが本書の主人公達だった。
戦後70年経って、その事実自体が忘れ去られることに、著者は危機感を抱き本書を上梓したように思う。貴重な書物で、戦争は一番弱い立場の人たちに過酷な運命を背負わせるように出来ている。
戦争はやってはならないという、この単純な事実を改めて考えさせられる。最近のきな臭い政治の世界が嘆かわしい。
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