雷が鳴っている。けたたましい救急車の警報が近づいて来て、マンションの前で止まった。雨のせいなのか、今日はとても静かだと思っていたが、変わらない日常があった。朝、テレビを観て、本を読んで、昼食をとって昼寝し、起きてまた本を読み、夕方になってパソコンに向かう毎日だ。
晩飯の時は必ず酒を飲むから、テレビを観て、後は風呂に入って寝るだけ。同じことの繰り返しだが、それ以上に望むことは何もない。飲んでからは何かを考えることはしたくない、と言うよりも出来ないから、カミさんが見ているテレビ番組を仕方なく見ている。
『東大王』というクイズ番組を見ていたら、正解が多かった。「東大の入試が、こういうクイズだったら合格していたのに」と言うと、カミさんに「あなたのはただの雑学です」と叱られた。本質的で体系的な勉強は苦手だったが、どうでもいいことは意外に知っていたが、確かにそれでは合格は出来なかった。
瀬戸内寂聴さんの『おだやかな部屋』と『高校生のための経済学入門』を、読み飽きたら取り替えていたら、『高校生の』の半分もいかないうちに『おだやかな部屋』が終わってしまった。瀬戸内さんの作品には経済学の視点はない。そればかりか、いったいどこで働いているのかも定かではない。
女がどうして家庭のある男に惹かれているのか、そもそも惹かれているのだろうか、そんな自問を綴った小説だ。男が作家の井上荒野さんの父・井上光晴さんであることは、荒野さんの小説『あちらにいる鬼』の男とピタリと一致するから間違いない。
友だちは「寂聴さんの作品は読まない」と言ったが、それは彼女が清廉で潔白を好むからだ。男から男へどうしようもなく好きになっていく女を受け入れられないのだ。瀬戸内さんの作品を読んで、描写がとてもうまいと思った。だから、「いったい何?」と思いながら、文章に引きずり込まれてしまった。
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