ひゃー、凍え死ぬところだった。空気は冷たかったけれど、どうしても大きな鉢の土を今日中に入れ替えたかった。朝から作業にかかり、昼食をとって再び始めた。ガラス戸の向こうからカミさんが「トントン」と叩いて、出かける合図を送って来た。古い根を切り落とし、肥料と赤玉土を混ぜ込んだ新しい土を入れ、残った土もきれいにして次に使えるように土作りをする。植え込みが終る頃はさらに風が強くなってきた。よし、今日はここまでと全てを片付けて部屋に入ろうとするが鍵がかかっている。
カミさんが出かける時に無意識のうちに施錠したのだ。どこか鍵が開いているところはないかと探したが、北の部屋も鍵がかかっている。夏と違って冬は風が強いので、ガラス戸に隙間が出来ないに施錠してしまう。これは困った。管理事務所に電話をして、開けてもらうことは出来るが、それではカミさんが恥をかくし、友だちに頼んでも同じことだ。こうなったらカミさんが戻るまで待つしかない。
風はますます強くなる。風を遮るところを探すが、吹き返しもあってどこにいても寒い。太陽が射してくれば暖かいのに、雲に隠れて顔を出さない。このままじっとしていたら体温が低下してしまう。登山をしたことはないが、山で死ぬ人は低体温が原因だったと思い出し、とにかくカミさんが帰って来るまで歩き続けることにする。歩けるうちは死ぬことはない。ルーフバルコニーを行ったり来たり2時間半ほど歩き続けた。
「トントン」とガラス戸を叩く音がした。振り向くとカミさんがいた。「まだやってるの?」と聞く。「鍵がかかっていて中に入れないんだ」と言うと、「ウソ!」と慌てる。「寒いから早く中に入れてよ」。開けてもらって部屋に入る。助かった。温かいコーヒーを飲む。カミさんは故意に施錠した訳ではないから、怒る訳にはいかない。これが逆でなくてよかった。うっかりしてそんなヘマをやったりしたら、雷が落ちるだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます