凡々たる、煩々たる・・・

タイトル、変えました。凡庸な人間の煩悩を綴っただけのブログだと、ふと気付いたので、、、。

ヘテロな文化のダサイ日常

2013-04-15 13:17:14 | 人生
 女性の中には、ヘテロセクシズムに深く傷ついてきている人が結構いる気がする。セクシズムはもとより、ヘテロセクシュアルが主流の文化であるこの社会では、女性は常に男性の視線の対象として、値踏みされ、存在価値を決められる。

 女性のBLへの傾きは、男性にはない、この文化の中での自己客体化の深さ、傷の深さの表れのような気がする。

 もちろん、ヘテロ文化の中で、大した屈折もしないで順応していく女性もたくさんいるから、たぶん、ヘテロ文化に違和感を抱いている女性は少数派であるのかもしれないけれど。

 そして、映画を見ても、テレビドラマを見ても、本を読んでも、「えーかげんにせーよ」というくらい、ヘテロのオンパレードだ。
 先日、連続ドラマを見ていて、途中で見るのをやめた「シェアハウスの恋人」という番組があった。舞台は、実際に横浜にあるシェアハウスでロケをしている。そして、男性の同性愛というアイテムも登場しているので、ちょっと数回追いかけてみた。が、あまりの陳腐さにがまんできなくなり、見るのをやめた。出ている俳優も結構好きだし、舞台もいいのに、なぜここまでダサくできるのか、と思うほどに陳腐で見るに堪えない。なんだかわけがわからなかったが、主人公の男性が「宇宙人」とかいう設定(?)で、その「宇宙人」の男性に思いを寄せる年上のイケメン男性に、「宇宙人」は同性愛ということにドン引きするのだけど、同性愛は宇宙人より珍しいのか、と、呆れてしまうのだ。

 宇宙人の存在があり得て、同性愛はあり得ない、というこの設定の歪み。あまりのアホらしさに、つまらなさを通り越して、腹が立ってきた。

 NHKのドラマでも、先日まで連続放送されていた「純と愛」と題されたドラマ、人の本性が見えてしまう男とか、腹黒い人間の匂いが「臭い」とマスクを離せない女とかが登場するなど非現実的な設定のその単純な人間観に呆れていたが、ゲイ男性の取り上げ方にもうんざりした。明らかに中年オカマという典型的な人物像を描き出し、同性愛の戯画化に一役買っている。同じNHKの「ハートをつなごう」で、あれほど、性の多様性を打ち出し、当たり前の性のありようの中に同性愛もトランスジェンダーも組み込んでいく努力をしているのに、一方でこのお粗末さかげん。

 なんだか、どれもこれも、ヘテロセクシズムが推進される材料となっていて、そこに傷ついて相対化を試みてきた人たちの努力が全く報われないことに、苛立ちを通り越して絶望的になる。

 マイノリティの感覚で生きて長いので、私の目には、どれもこれもダサイ。陳腐で魅力的ではない。なんだかな~、という感じだ。
 
 権力の所在が、民主主義社会では、マジョリティに移ったということか。

 性の多様なありようが、普通に物語に組み込まれていくような、洗練された社会はまだまだ来ないのだろうか。

 フランスの連続テレビドラマに「Les Bleus」という、若き警官たちを描いた面白いドラマがあったのを見つけた。既に2年ほど前に終わっているシリーズだ。Youtubeでは、フルストーリーは見られない。しかし、断片的なシーンを拾ってみた。主人公なのか、主人公の一人なのかわからないが、若い新米警官のケヴィンは、ゲイという設定。そして、同じ警察組織の中に恋人ができ、彼とのやり取りを巡って、苦悩したりハッピーになったりを展開する。どちらも極めてルックスの優れた俳優が演じている。ゲイがフリーク扱いどころか、むしろヒーローとしての役割も果たしている。年上の男性ヤンは、マッチョな気質の敏腕警官だ。若いケヴィンは、同僚から、「キングコングとハルクを除けば、君が一番ごっつい」と言われる筋肉質。二人とも、マスキュリニティを遺憾なく発揮する。そうした人物造型をベースに、様々な事件が展開し、若い警官たちの若さ故の失敗や苦悩を描く。社会正義や組織に所属して働くというテーマも登場する。終わり方が切なくてつらいのだが、美学として成功しているように思う。断片しか拾えていないので、レズビアンが登場するかどうかは見えない。
 日本で言えば、人気刑事ものドラマの二枚目主人公がゲイという設定、というところか。

 アメリカのドラマでも、今やフリークではないゲイが種々登場するようになっている。シリアスなドラマの中で、当たり前のようにゲイやレズビアンが存在する。ごく普通に、ヘテロの役と同じように、ルックスの良い俳優が演じるようになってきている。

 ゲイたちの裏側は、私は知るよしもないが、少なくとも、私の知るかぎりのゲイ男性は、日本のテレビドラマに登場するような「おねえ」ではない。そういう人は私の周辺にはいない。レズビアンはもっとたくさん見てきたが、あまりにも「普通」の人が多い。
 シナリオ作家は、自らの陳腐な感性を恥じた方がよいと思う。それとも、放映側の規制が強く働くのだろうか。

 とにかく、つまらない作品が多いのよ。
 

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