凡々たる、煩々たる・・・

タイトル、変えました。凡庸な人間の煩悩を綴っただけのブログだと、ふと気付いたので、、、。

ダメ男アイデンティティ

2017-09-28 14:13:02 | 日々の雑感
私は、女ではない、という実感を持っている。
女性としての性自認が非常に希薄だ。

これは、時々、周りの人に言っているが、
だいたい、最初は、ひっくり返らんばかりに驚かれる。
昔からつきあいの深い人は、わかっていたりするが、
そして、ジェンダーやセクシュアリティについてよく考えている人は理解が早いが、
多くは、信じられない、という反応をする。

なぜなら、私は「女らしい」からだそうだ。
私は、ずっと、「女らしい」と言われてきた経験を持っている。
自分では不本意でもあり、そう言われる理由をいくら説明されても納得しにくい。
先日も、私と共通する交友関係を持つ人から、私は最も「女らしい」と言われたばかりだ。

声が女らしい、そうだ。
確かに、だみ声ではない。
が、高い声でもないはずだ。
しかし、私の年齢になると、女性も貫録がついて、生活者としての「おばさん」イメージ全開の人もいるから、
そういう人に比べると、いわゆる「女らしさ」を残していると見えるのかもしれない。
話し方がおっとりしているそうで、それを「女らしさ」の材料の一つに数える人もいる。
顔つきが女らしい、と言われる。
確かに、オトコ顔ではない。(年齢と共に、おばあさん顔にはなっているが)。
色白で、からだも小さい。

私は、髪もロングやセミロングではないし、いつもパンツ姿で、アクセサリーをつけたこともない。
それなのに、「最も女らしいあなたに」と、
集会の後、持ち帰ることになった花束は私に回って来るし、
「貰い物だけど、あなたに似合いそうだから」と、ピンクのきらきら光るガラス玉のイヤホンジャックをくれたりする。
ピンクなんて色は、私のライフスタイルのどこにも存在しないにも関わらず、だ。
もらって茫然とする私に、相手は満足そうにしている。

私は私の交友関係の範囲の中で、誰よりも「女らしい」ようなのだ。
自分で、やはりその理由がわからない。

先日、古い友人に会ったとき、私が女アイデンティティが希薄だという話をしたら、
案の定、その人は私を「女らしい」と言い、むしろかなり抵抗を示す。
つまり、信じてくれないのだ。
抵抗すらする。不快感さえただよっている。

これは、何かある! と感じた。
それで、もう少し、具体的な話をした。
私は、体も小さいし、子どもの頃から運動神経も鈍いし、全然「男の子」のようではなかったこと、
しかし、気の強い女の子にやっつけられて悩んでいる、気の弱い情けないダメな男の子というアイデンティティがあったのだと言うと、
急に納得してくれたようなのだ。
のび太のようなだめな男の子だと言えば、受け入れられた感じがある。

この社会で、「男」は「女」より一段上に位置づく。
「男」アイデンティティがあると言えば、その上位へと位置づこうとする上昇志向に見えて、嫌悪がわくのかもしれない。
だから、それは違うのだと言わなければならない。
あんな男に生まれるくらいなら、女でよかった、と女性たちが思うような「男」であることを強調しないといけないのかもしれない。
実際、私自身が、子どもの頃にそう思った。
自分が「男」であろうとすれば、あまりにも「男らしさ」の理想像から遠すぎて、
このままの自分が生きていくには、「女」として生きていく方がはるかに楽で適合しているだろうと考えた。
体が小さい、運動ができない、気が弱い、からだつきもいかにも女の子だ。
自分の持っているものは、「女」に向いているのは明らかだ。

思春期のある時期に、「女」として生きることを思い定めた明確な記憶がある。

だから、女らしくしようと努めたし、女らしい装いを楽しんだ。

が、どこかでやはり自分は「女」ではないような気がしていた。
そして、次第にそれは強くなってきた。
やがて、そういうことを言っても「大丈夫」と思える時代になった。

そして、冒頭に戻る。
それを表明するたびに、相手からの抵抗を受ける。
「一番、女らしいのに、、、」と言われる。

だから、もっとちゃんと言わねばならないのだ。
いえいえ、私はずっと、ダメ男アイデンティティがあるのです、と。
かっこよくない、男らしくない、女の子にモテない、ダメダメな男なのですが、「男」ではあるのです、と。

様にならないけれども、アイデンティティは「女」ではなく「男」に近い、という感じだ。
が、何が何でも「男」でありたい、と幼い頃から思う強迫的な観念はなく、
あきらめて「女」であることを選択できたから、若い時に「性同一性障害」と診断される人たちと同じではないのだろう。
しかし、年齢を重ねて、初めて性を変更したいと望む人もいるから、全く違うとも言い切れない。

のび太のようなダメな男、というのが一番しっくりくるかも。
そう言えば、のび太は、何もかもダメなのだが、射撃だけはとてもうまい。
(私も射撃は好きだ。モデルガンで家の中でたまに遊ぶのではなく、もっと本格的に楽しみたいが、そういう環境にはいない。)

女性的に見えていても、女アイデンティティが希薄だという人はたくさんいるような気がする。
いわゆる「Xジェンダー」という表現ができてきたから、それを自分のアイデンティティだと感じる女性も多いのではないだろうか。

私の場合は、Xジェンダーという表現は魅力的だと思うが、ダメ男(オ)アイデンティティという方がもっと自分には合っている気がするが。




コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。