実務家弁護士の法解釈のギモン

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相手方訴訟代理人の忌避(2)

2017-11-14 10:14:02 | 民事訴訟法
 異議説は、相手方当事者が異議を述べれば当該弁護士の訴訟行為は排除されるが、異議を述べなければ当然には無効とせず、有効なまま処理されることから、当該弁護士に依頼した当事者の保護にもなるし、訴訟経済にも合致する。その意味で、具体的妥当性は認められそうである。
 が、私には、異議権を認める法的根拠が乏しいと思われたのである。

 他の考え方として、無効説、追認説、有効説などがあると言われる。
 無効説であれば、弁護士法25条が「職務を行ってはならない」と規定しているので、これを効力規定と考えれば、同条に違反する訴訟委任行為は無効という帰結が取りやすい。追認説も、無効であることを前提としており、ただ、弁護士法25条1号は相手方(相手方という表現が、どちらを指しているのかがややこしいが、前回ブログの貸金訴訟の事例で言えば原告側)を保護する規定である以上、相手方が追認すれば有効になるというのも、比較的理解しやすい。
 有効説は、弁護士法25条を効力規定とは捉えない考え方で、ある意味一貫しており、論理的にも問題は少ない。が、裏切られた本人(原告)の保護に欠けることは明らかである。異議説は、とりあえずは裏切った弁護士の訴訟行為は有効であることを前提としているはずである。それにもかかわらず、異議でその訴訟行為を排除できるというのであるが、有効な訴訟代理行為をなぜ異議で排除できるのか、理論的には一番難しい説だと思うのである。

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