実務家弁護士の法解釈のギモン

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区画整理事業と賦課金(後編2)

2013-06-21 11:09:30 | 時事
 この判例を私が読むところでは、結局のところ土地区画整理法が賦課時の現組合員に賦課金を賦課する仕組みになっているのだから、区画整理中の土地の売主に損害賠償を求めることはできないと言っているに過ぎないように読める。
 つまり、ただ土地区画整理法という法律の仕組みを論じただけで原告の請求を認めなかったことになりそうである。

 しかし、それだけでは済まされない問題があると思っているからこそ、我々は売主に賦課金の返還を求めているのであるし、判例の事案だって同じはずである。ところが、そうしたことは全く考慮されていない判例としか思えず、私には全く納得できない判例である。
 土地区画整理法という法律の仕組みだけを論じて原告の請求を認めないことに関し、どこに問題があるのかを一言でいうと、この法律は、あらゆる事態(例えば区画整理事業中の土地の権利関係の変動後の民間どおしの利害調整など)をすべて予測した上で規定された法律とは、とても思えないからである。
 土地区画整理法の目的は、区画整理事業として最終的に行われる換地処分という行政処分に至るまでの行政手続的な法律である。そのため、換地処分そのものが不公平にならないような配慮はしているものの、それはあくまで換地処分という強制処分を行う前提での行政法規上の問題であり、換地処分に直結しないような民間どおしの利害調整にまで目配りをした法律とは思えないのである。だから、もし民間どおしの利害調整が必要になってくれば、民法その他の一般私法が適用されて当然のように思うのである。

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