NHK『介護百人一首』から、私の心に特に響いた作品。
これで一応最終回になりそうです。
「ステキな感性」編。
花びらのごとく飯をこぼしつつひたすら食(は)むる姑(はは)を見守る
お姑さまは不自由な手でスプーンを使い、懸命に口に運ぶけど、胸元にこぼしてしまうそうです。
この「花びらのごとく」と見える感性が、
ステキです。☆
出歩けぬわれの歌材は限られて話のできる金魚に向かう
このお宅の金魚さんは「話しができる」!?
日々の暮らしはタイヘンなこともあるでしょうが、
心の持ち様ひとつなんですね。
寝たきりの母の世話するわが背(せな)にふっと優しい目差(まなざ)しのあり
『後ろを向いている時に優しい視線を感じて、まだ 母に見守られているのだと感じる』とか。
「目指したい、この生き方」編。
三度目のがんの手術に「やってくんな」即答する父昭和の漢(おとこ)
なんと、心臓の手術だそう。
「やってくんな」
この言葉を、わたしは歯科の治療のときに思い出し、
こんなことでひるむ自分が恥ずかしくなったものです。
「やめてくれ」初めて受けた介護拒否気まずいままに終わらせないぞ
実習でこう言われ拒否されて一時は落ち込んだ。
それでも『この方の信頼を得ることができれば自信につながる』と思われたとか。
立派です。見習いたいです。
介護って、やることのタイヘンさも もちろんあるけれど、
時に もどかしくなったり、イライラしたりして、優しくしてあげられない自分が たまらなく情けなくなる、
その心の問題の方が辛い、と聞いたことがあります。
また、
愛する人の、そんな様子に心が波立つ。自分の介護のために――。
そんな方もおられるでしょう。
日々本当にイロイロあるでしょうに、そんな中でも、
こんな作品が生み出せるって素晴らしいと思います。
100首すべてじっくりと味あわせて戴いて、こちらの胸まであったかくなりました。
本当にありがとうございました。