「誰(だれ)だろう? こんな時間に…」父親は玄関(げんかん)の扉(とびら)を開けようとした。
その直前(ちょくぜん)、扉が勢(いきお)いよく開いて黒ずくめの男が父親を押(お)し倒(たお)して入って来た。水木涼(みずきりょう)はとっさに手にした鞄(かばん)を男に投(な)げつけ、両親(りょうしん)に家の奥(おく)へ行くよう促(うなが)した。そして能力(ちから)を使って男を家の外へ飛(と)ばし、慌(あわ)てて扉を閉めると鍵(かぎ)をかけた。
「いったい何なのよ」涼は息(いき)を整(ととの)えながら呟(つぶや)いた。
家の奥からガラスが割(わ)れる音がして、母親の叫(さけ)び声が聞こえた。涼は竹刀(しない)を手にすると、家の奥へ急(いそ)いだ。そこには数人の男たちが乱入(らんにゅう)していた。父親は頭から血を流しながらも、母親を男たちから守っていた。涼は竹刀を振りまわし、男たちに一撃(いちげき)をあたえて両親の前に立った。しかし、そんなことで男たちはひるまなかった。
「誰なのよ! 何でこんなことするの!」涼は叫んだ。
男たちは何も答えず、標的(ひょうてき)を涼に絞(しぼ)ったようだ。涼は男たちに向かって行った。能力(ちから)を使って家の中の物を男たちにぶつけ、大きな座卓(ざたく)を両親の前に立てて盾(たて)にした。そして男の一人を能力(ちから)で思いっ切り突(つ)き飛ばした。男はガラス戸を破(やぶ)り庭(にわ)に倒れ込む。
涼は庭に飛び出した。男たちも彼女を追(お)って外へ出た。涼は竹刀を構(かま)えた。男の一人が涼の前に立った。その男は日本刀(にほんとう)を抜(ぬ)いてみせた。涼は思わず、「そ、そんなのありかよ」
突然(とつぜん)、涼の手から竹刀が抜(ぬ)け出し飛び去(さ)った。日本刀の男はニヤリと笑った。
<つぶやき>敵(てき)にも能力者(のうりょくしゃ)がいたようですね。涼たちは、このまま消(け)されてしまうのか?
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