徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:小出裕章&高野孟著、『アウト・オブ・コントロール 福島原発事故のあまりに苛酷な現実』(花伝社)

2017年08月05日 | 書評ー歴史・政治・経済・社会・宗教

小出裕章&高野孟著、『アウト・オブ・コントロール 福島原発事故のあまりに苛酷な現実』(花伝社)は、2013年10月鴨川市で開催された講演の記録の記録で、原発とはどういうものか、福島でどれほど苛酷な事故を起こしたのか、収束作業が続く現場にどれほどの危険が潜んでいるのかを図版とともに解説しています。

第一部は小出裕章氏の講演「今も終わらない福島原発事故の真実」。質疑応答を挟んで、第二部は高野孟氏による「「原発ゼロ社会」への覚悟を固め直そう」が収録されています。

初版は2014年1月発行で、わずか120ページの小冊子です。その割に1000円(税抜き)もするので、かなり割高な印象は否めません。

第一部の小出氏の講演は標準的なもので、彼の講演を(ビデオなどで)聞いたことがある方にとっては新しいことは何もないと思います。最重要メッセージは「とにかく子供を被ばくから守ろう」です。

第二部の高野氏の「補論」では、汚染水、四号機プール、地震原因説の隠蔽の三点が扱われており、以下に「コントロール下にある」という安倍首相の言葉が悪質な嘘なのかを暴いています。ここで最も懸念されていた四号機プールの使用済み核燃料は無事に取り出されたため、人類が経験したことのない過酷事故の危険はひとまず回避されましたが、その他の懸念事項は依然として存在しており、政府及び東電の無責任・無計画かつ無謀な対処を今後も冷や冷やしながら見守る羽目になるのかと思うと大変気が重いですね。


書評:小出裕章著、『騙されたあなたにも責任がある 脱原発の真実』(幻冬舎)

書評:一ノ宮美成・小出裕章・鈴木智彦・広瀬隆他著、『原発再稼働の深い闇』(宝島社新書)

書評:小出裕章&西尾正道著、『被ばく列島~放射線医療と原子炉』(角川oneテーマ21)

書評:小出裕章著、『原発のウソ』(扶桑社BOOKS)

書評:今西哲二著、『サイレントウォー 見えない放射能とたたかう』(講談社)