徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

ドイツ:世論調査(2016年7月22日)~トルコのEU加盟反対、過去最多

2016年07月22日 | 社会

ZDFの世論調査ポリートバロメーターが7月22日に発表されましたので、以下に結果を私見による解説を加えつつご紹介いたします。

トルコクーデター未遂以降、エルドアン大統領による徹底的な粛清措置と非常事態宣言、死刑復活議論などトルコの不穏な動向が連日報道されています。まずはそのトルコについての世論調査。

トルコ

トルコは数年後にEUに加盟すべきだと思いますか?:


はい 9% (2015年10月:29%)
いいえ 87% (60%)

トルコのEU加盟反対の声は過去最多を記録し、エルドアン政権の危うさが反映されています。

 

クーデター未遂後、エルドアンは…?:

強力になった 80%
弱体化した 14%
分からない 6% 

あれだけ厳しく粛清していれば、「強化された」と見られるのは当然ですね。クーデター自体が自作自演だったのではないかという疑いもありますし。更迭された裁判官や公務員、その他の逮捕者たちのリストはクーデター以前から作成されていたはずで、事件とは本来関係がない政敵排除と見るべきでしょう。

 

トルコの民主主義は大きな危険にさらされていますか?

はい 87%
いいえ 8%
分からない 5% 

これもまあ当然の結果ですね。クーデター未遂後に非常事態宣言を出し、数万人単位で粛清され、24放送局免許取り消しと続けば、民主主義が危ぶまれるのは自明の理。しかし当事者であるエルドアン大統領陣営はそれが「民主主義の反撃」だと言い張るのですから、呆れる限りです。「民主主義を守るために」と言って戦争する某国と通じるものがありますね。


難民危機:トルコは信頼できるパートナーですか?

はい 11%
いいえ 82%
分からない 7% 

難民問題においてトルコが信用できないという見方は依然とほとんど変わっておらず、2ポイント上昇しただけです。


ロシア・ドーピング

国際的トップスポーツではドーピングがかなり広がっていると思いますか?

はい 87%
いいえ 9%
分からない 4% 

聞くまでもない質問です。


次のオリンピックからロシアチームを除外すべき?

はい 47%
いいえ 47%
分からない 6% 

ロシアの処分については意見が真っ二つに割れています。


テロ

フランスのニースで起きたテロが実は結構時間をかけて計画されたものであり、単独犯でなかったことが分かってきました。ドイツのヴュルツブルクで起きた斧による無差別攻撃に関しては背後関係がまだわかっていません。防御しにくいのはなんといってもISのプロパガンダに影響された単独犯によるローレベルあるいはローコストテロです。

77%の人がドイツで近いうちにテロが起きると考えています。起きないと答えた人は20%でした。

テロ防御措置は十分にされていると答えた人は59%、不十分とした人が31%、分からないが10%でした。


政党・政治家評価

政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで)

  1. フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.0(前回比-0.3)
  2. ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、2.0 (-0.2)
  3. ヴォルフガング・ショイブレ(内相)、1.6(-0.3)
  4. アンゲラ・メルケル(首相)、1.4(-0.3)
  5. トーマス・ドメジエール(内相)、0.8(変化なし)
  6. グレゴル・ギジー(左翼政党)、0.7(-0.1)
  7. ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.6(-0.2)
  8. ジーグマー・ガブリエル(経済・エネルギー相)、0.4(-0.4)
  9. ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.3(-0.1)
  10. サラ・ヴァーゲンクネヒト(左翼政党)、-0.5

 

連邦議会選挙

もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか?:

DU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 35%(前回比+1)
SPD(ドイツ社会民主党)  24% (+1)
Linke(左翼政党) 8%(-1)
Grüne(緑の党) 13%(変化なし)
FDP (自由民主党) 6%(-1)
AfD(ドイツのための選択肢) 11%(変化なし)
その他 4% (変化なし)

 

1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先推移:


経済問題

一般的な経済状況:

いい 56%(前回比-1)
どちらとも言えない 37%(+1)
悪い 6% (変化なし)

 


自分の経済状況:

いい 63%(前回比-2)
どちらとも言えない 28%(-1)
悪い 9%(+3)


ドイツの経済は今後…?:

よくなる 20%(前回比-6)
変わらない 55%(+2)
悪くなる 21% (+3)

Brexit(イギリスのEU離脱)のせいもあるかもしれませんが、経済的な展望が若干悲観的になってきているようです。

 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン(選挙)」によって行われました。インタヴューは偶然に選ばれた有権者1.271人に対して2016年7月19日から21日に電話で実施されました。

次の世論調査は2016年8月12日ZDFで発表されます。

 


参照記事:

ZDFホイテ、2016.07.22、「ポリートバロメーター」