徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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ドイツ:世論調査特別版(2016年9月9日)~ベルリン州、AfDは14%

2016年09月09日 | 社会

ZDFの世論調査ポリートバロメーター特別版が9月9日に発表されましたので、以下に結果を私見による解説を加えつつご紹介いたします。

ベルリン市州では9月18日に州議会選挙があります。日本の不在者投票に相当する郵便投票(Briefwahl)は既に始まっています。

もし次の日曜日が州議会選挙ならどの政党を選びますか?:

SPD(ドイツ社会民主党)  24%
CDU(キリスト教民主同盟) 19%
Linke(左翼政党) 14%
Grüne(緑の党) 15%
FDP (ドイツ自由民主党) 5%
AfD(ドイツのための選択肢) 14%
その他 9% 

 

今回の世論調査で出た政党支持率の分布は、州議会選挙での得票率と概ね一致していると見て間違いありません。そのため、右翼政党であるドイツのための選択肢(AfD)がメクレンブルク・フォァポンメルン州の21%ほどではないにせよ、14%の支持率を獲得しているのは心配の種です。一方現在ベルリン州議会に議席を持つ海賊党(Piraten)は今回見る影もありません。

 

市長には誰を希望しますか?:

ミヒャエル・ミュラー(Müller、SPD) 59%
フランク・ヘンケル(Henkel、CDU)19%

どちらでもない 11%
分からない 11% 

 

 現職のミヒャエル・ミュラーの支持率は非常に高いようです。

 

市長候補者の評価 (スケールは+5から-5):


ミュラー (SPD) +1.3
ヘンケル(CDU) -0.5 
ポップ(緑の党) +0.1
レーデラー(左翼政党) +0.3 

市長候補者の政党内評価(スケールは+5から-5):

ミュラー (SPD) +2.7
ヘンケル(CDU) +1.8
ポップ(緑の党) +1.7
レーデラー(左翼政党) +1.5


現職市長ミヒャエル・ミュラーの評価は党内外で比較的高いようです。

 

州政権と野党の評価(スケールは+5から-5):


政権

SPD +0.4
CDU -0.6

野党

緑の党 0.0
左翼政党 -0.3
海賊党 -1.9 

 

投票先は決まってますか?:

はい 57%
いいえ 43%

 

最も重要な問題は?: 

難民問題 40%
家賃・住宅市場 27%
学校・教育 21%
交通 13%
犯罪 12% 

 

メクレンブルク・フォアポンメルン州とは違い、ベルリンでは失業問題が重要とは見なされていないようです。2016年8月の失業者統計ではベルリンの失業率は9.7%で、全国第2位なのですが、重要課題として挙げられないのは不思議なことです。

 

どの政党が各分野での専門知識・能力があると思いますか?

教育:

SPD 23%
CDU 18%
緑の党 15%
左翼政党 2%

経済:

SPD 29%
CDU 21%
緑の党 3%
左翼政党 4%
AfD 1% 

 

難民問題:

SPD 20%
緑の党 19%
CDU 14%
左翼政党 10%
AfD 10%

社会正義:

SPD 33%
CDU 10%
緑の党 10%
左翼政党 24%
AfD 2% 

この政党別分野別の能力判断で分かることは、14%いるはずのAfD支持者たちが、特にAfDのの政策能力を買って支持しているわけではないということです。よく言われることですが、いわゆる「反抗政党(Protestpartei)」へ既成政党への反発を示すために投票する人たちによってAfDが得票率を伸ばしているわけです。

状況はメクレンブルク・フォアポンメルン州と同じです。


どの連立政権がいいと思いますか?

SPD/CDU: いい 37%、悪い43%

SPD/左翼政党/緑の党:いい 43%、悪い 40%

 

現在のベルリン市政府はSPDとCDUの連立政権です。上の政党評価でも明らかなように、特にCDUの評価が下がっています(-0.6)。そのため、SPDを残して、他の小政党2党との連立政権を望む声が大きくなっているようです。

 

難民数はベルリン市州にとって処理可能?

はい 62%
いいえ 33%
分からない 5% 

 

ベルリンはどちらかといえば国際都市としてオープンな土地柄のはずなんですが、それでも「処理できない」と思う人が33%もいるのが意外な感じです。これはもしかしたら、排他性によるものではなく、ベルリン市の管理・実務処理能力の低さを評価しているものと考えられるかもしれません。下のメルケル首相の難民政策の支持率が不支持を上回っていることも、「処理できない」の理由が排他性によるものではないことを裏付けているようです。

 

メルケルの難民政策について

いい 52%
悪い 43%
分からない 5% 

 

政党別メルケル首相の難民政策支持率:

SPD 60%
CDU 62%
緑の党 76%
左翼政党 53%
FDP 39%
AfD 4% 

 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン(選挙)」によって行われました。インタヴューは偶然に選ばれた有権者1.334人に対して2016年9月6日から8日に電話で実施されました。

次の世論調査は2016年9月23日ZDFで発表されます。

 

参照記事:
ZDFポリートバロメーター、2016.09.09、「ポリートバロメーター特別版
Statista、2016年8月州別失業率統計