みちくさ茶屋

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神様のカルテ 感想

2011-10-14 | movie
「神様のカルテ」観てきました。
ざっくり感想を。(ネタバレありです)

原作は読まず、予備知識なしで鑑賞しました。
まず印象的だったのが、気になっていた櫻井翔くんのおばさんパーマが、意外にしっくりきてたこと。テレビで予告を見ていたこうたろうが「翔君、頭どうしたの?」と聞いていたくらいだったのですが(笑)。
「櫻井翔」ではなく「栗原一止」として映画に入り込んでみると、あの野暮ったさがむしろなじんでいるように思えました。一止を演じるには、アイドルのオーラはオフにしないといけないもんね。

物語の最大のテーマは医療と生死だと思うのですが、重くなりすぎなかったのはやはりのどかな長野が舞台だったからでしょうか。
キーパーソンとなるがん患者の安曇さんを見ていて、こんなふうに、最期に信頼できる医師のもとで、好きな風景の見える場所で逝くことができるのは幸せだなと思いました。
安曇さんが危篤状態に陥ったとき、延命はしないでほしいという彼女の願いを聞き届けた一止。本音を言えば、延命したかったよね… 医者として、人間として、なんとかこちらの世界にとどめさせたいと思うよね。でもそこをこらえて、安曇さんが天に召されるのを見守ったのは、結果としてやっぱり正解だと思う。きっと安曇さんも感謝していることでしょう。

御獄荘の建物や住人は、きっと原作ではとても魅力的に描かれているんだろうなぁ…と思いながら観ました。原作を読んでいない者としては、ちょっと説明不足というか、「えっ、旅館?」「えっ、誰?」と最初に不思議に思うことばかりで、理解するのに時間がかかりました。あとから原作を読みましたが、うーん、この素敵な設定とキャラクターを、医療ネタとあわせて2時間でまとめるのはやっぱり難しかったかも。連ドラでやってくれたらもっとしっかり背景がわかって、登場人物にも感情移入ができて、ものすごく感動しただろうな。映画だけ見ると学士の旅立ちは唐突だったし。

あと、映画では、医局長がなぜそんなに一止に入れ込んでいるのかがよくわかりませんでした。内視鏡の検査してるのを一度見ただけなのに、一止の医師としての技量や人間性まであんなに高く評価するのは不自然。
ラストの妊娠オチも、「花男Fかよ!」とややしらけました。原作にはないオリジナルエピソードですが、あれはいらなかった気が。
「死んでいく命があって、生まれてくる命がある」ってことが言いたかったのかな。「ちゅらさん」もそんなエンディングでしたね。ベタだなぁ。

なんだかケチつけるようなことばかり書いてしまいましたが、私の最大の感動ポイントは、一止が若い看護師に「私にはできない役割を君は果たしている」と諭すところ。実際に患者を診断したり手術を施したりするのは医師だけれど、それをサポートする看護師のこともちゃんと見ていて、敬意すらはらっている一止の人となりを感じたし、上司にこんなふうに言ってもらえたらうれしいよなあって、その看護師の立場になって泣いてしまいました。

それから、「夫婦っていいものだな」とも思いました。恋人とはちょっとちがう、「家族」というパートナーに、お互いがどれだけ癒され助けられているかが伝わってきて。
原作ではもう、一止がハルのことをかわいくてかわいくてたまらないというようなことばっかり書いてあって、幸せなふたりだなあとほのぼのしました。

音楽もすばらしかったです。
へたに嵐の歌を主題歌にしなかったところが二重丸。(「大奥」はそのへんがちょっと気になった)ピアノの旋律の美しさが、この映画をとても上品なものにしていたと思います。

個人的には、柄本明さんがいい味だしてて好きでした。
タイゾーもすっかり役者だねぇ。

ということで、久々に映画館での鑑賞。いい時間でした。


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