わたしの心 

日々の出来事・感動などを日記にして公開したいと思います。
(管理人:Mrs.modest)

巷に雨の降るごとく

2019年01月28日 | ミニ知識

 

先日(1/27)訪れた書展で書かれていたポール・ヴェルレーヌの詩「都に雨の降るごとく」
色々な人が訳していて、堀口大學の訳したものが有名なようですが、私は鈴木信太郎訳のものが好き…。

※Il pleure dans mon coeur...
 
 Il pleure dans mon coeur
 Comme il pleut sur la ville ;
 Quelle est cette langueur
 Qui pénètre mon coeur ?
 
 Ô bruit doux de la pluie
 Par terre et sur les toits !
 Pour un coeur qui s'ennuie,
 Ô le chant de la pluie !
 
 Il pleure sans raison
 Dans ce coeur qui s'écoeure.
 Quoi ! nulle trahison ?...
 Ce deuil est sans raison.
 
 C'est bien la pire peine
 De ne savoir pourquoi
 Sans amour et sans haine
 Mon coeur a tant de peine !

「巷に雨の降るごとく」(堀口大學訳)
    雨はしとしと市(まち)にふる。
    アルチュール・ランボー      
  
 巷に雨の降るごとく
 わが心にも涙降る。
 かくも心ににじみ入る
 このかなしみは何やらん?

 やるせなき心のために
 おお雨の歌よ!
 やさしき雨の響きは
 地上にも屋上にも!

 消えも入りなん心の奥に
 ゆえなきに雨は涙す。
 何事ぞ! 裏切りもなきにあらずや?
 この喪(も)そのゆえの知られず。

 ゆえしれぬかなしみぞ
 げにこよなくも堪えがたし。
 恋もなく恨みのなきに
 わが心かくもかなし。

・「都に雨の降るごとく」(鈴木信太郎訳)
   都には蕭やかに雨が降る。
    
アルチュール・ランボー

 都に雨の降るごとく
 わが心にも涙ふる。
 心の底ににじみいる
 この侘しさは何やらむ。

 大地に屋根に降りしきる
 雨のひびきのしめやかさ。
 うらさびわたる心には
 おお 雨の音 雨の音。

 かなしみうれふるこの心
 いはれもなくて涙ふる
 うらみの思あらばこそ
 ゆゑだもあらぬこのなげき。

 恋も憎もあらずして
 いかなるゆゑにわが心
 かくも悩むか知らぬこそ
 悩みのうちのなやみなれ。


・「街に雨が降るように」(金子光晴訳) 
    しとしとと街にふる雨
    アルチュール・ランボォ     
           
 しとしとと街にふる雨は、
 涙となって僕の心をつたう。
 このにじみ入るけだるさは
 いったいどうしたことなんだ?

 舗道にそそぎ、屋根をうつ
 おお、やさしい雨よ!
 うらぶれたおもいできく
 ああ、雨の歌のふしよ!

 ゆきどころのない僕の心は
 理由もしらずに涙ぐむ。
 楯ついたりいたしません。
 それだのになぜこんな応報が・・・。

 なぜということがわからないので
 一しお、たえがたいこの苦しみ。
 愛も、憎しみも棄てているのに
 つらさばかりでいっぱいなこの胸。

街に雨が降るように」(渋沢孝輔訳) 
      街に静かに雨が降る
      アルチュール・ランボー     
           
 街に雨がふるように
 わたしの心には涙が降る。
 心のうちにしのび入る
 このわびしさは何だろう。
  
 地にも屋根の上にも軒並に
 降りしきる雨の静かな音よ。
 やるせない心にとっての
 おお なんという雨の歌!

 いわれもなしに涙降る
 くじけふさいだこの心
 なに、裏切りの一つもないと?・・・・
 ああ この哀しみにはいわれがない。
 
 なぜかと理由も知れぬとは
 悩みのうちでも最悪のもの、
 愛も憎しみもないままに
 私の心は痛みに痛む!


「お~いピエール
 この詩を試しにピエール流に訳してみて~

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