細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

東シナ海ガス田合意で何が起こるか

2008-06-16 22:44:21 | 外交
東シナ海のガス田問題が、日中間で合意と報道されています。事実だとすれば、日中外交の大ニュースです。

この種の外交問題、特に日中関係は、報道に左右される面もありますので、現時点でこれを鵜呑みにするわけにはいきません。ガス田問題に関わって以来、必要性を感じた時にメッセージを発信し、時として沈黙を守ってきただけに、今の時点で多くを語りたいとは思いません。この局面で言えることは二つ。

第一に、「白樺」(中国名・春暁)抜きの合意はありえないということです。このことは予算委員会でも主張しました。この点については、今回の合意は最低限の条件をクリヤーしているように見えます。

ただし、日本側が出資する費用と得られる権益のバランス次第では、金でメンツを買ったと批判される可能性があります。ちなみに、私はこの見方には必ずしも賛成できません。東シナ海のガス田は、日中間の資源問題という側面以上に、制海権を巡る問題という面があるからです。


もう一つの注目点は、日中の排他的経済水域の境界が棚上げられのかどうかということです。

共同開発の対象とされる中間線付近を棚上げして、その東西で排他的経済水域が確定するのであれば、この問題に関する日中間の争いは全面解決に向かいます。

仮に、排他的経済水域の境界が全面的に棚上げされるということになると、東シナ海が秩序なき争いの海となる可能性があります。

「排他的経済水域」においては、その名の通り、他国の調査船や潜水艦の行動は沿岸国から制約を受けます。全面棚上げの意味するところは、日本の近海から中国の近海まで東シナ海全体までの広い海域で、日中双方の調査船および潜水艦が制約を受けずに行動できるということです。

これまで、良くも悪くも辛うじて東シナ海の秩序を規定してきた日中口上書はどうなるのか?これまで無関心を貫いてきた米国が、東シナ海の新秩序の確立にどこまで関心を持つのか?不確定な要因をあげれば切がありません。

いずれにしても、東シナ海で新たな秩序を模索するということになれば、わが国の海洋国家としての本気度と外交力が厳しく問われることになります。