先ほど、海洋に関する2法案が衆議院の委員会を通過し、今国会での成立が確実になりました。ここまで来るまでには、色々なことがありましたので、感慨深いものがあります。
まず、2法案の概要をご説明します。
海洋2法のうち1本は、海洋国家として海洋資源の開発や保全、国際的協調などを規定した海洋基本法です。この法律の最大のポイントは、外務省、資源エネルギー庁、水産庁、海上保安庁、防衛省などの縦割りを廃して、内閣に海洋政策本部を設置し、担当大臣を置くことにあります。この法律によって、総理と担当大臣の政治判断で、海洋の開発が可能となります。
もう1本は、東シナ海でのガス田の試掘を念頭に置いて、海洋構築物の周辺500メートルに安全水域を設定できるとした法案です。日中間の海洋権益を巡る問題は、中川大臣の東シナ海ガス田視察や、試掘権の設定など、日本側がアクションを起こしたときに、交渉が前進してきました。この法律が、こう着状態に陥っている日中交渉を前進させるきっかけになるものと、期待されます。
2法案は成立の運びですが、まだまだ残された課題があります。
国連海洋法条約は、200海里(1海里=1852m)の排他的経済水域を定め、資源探査の禁止や違法な科学的調査について、沿岸国の権利を定めています。わが国は、国連海洋法に基づいて国内法を整備するのではなく、日中間で口上書を交わしてお茶を濁してきました。もちろん、海洋権益を巡る問題は、日中間に留まるものではありません。民主党では、国連海洋法条約の国内法化を進めてきましたが、超党派で合意するには至っていません。
もう一つ残されているのは、同じく国連海洋法条約で12海里に定められた領海の問題です。まず、改めるべきは、宗谷海峡、津軽海峡、大隈海峡などの5つの海峡で領海を3海里に制限することで、主権が直接的に及ぶ範囲を自ら制限している問題です。ちなみに、一国の領土間の領海の幅を12海里より狭く設定している国は、わが国以外にはありません。米海軍に対する配慮と航行の自由を確保するという観点から、「当分の間」領海法を制限したものですが、今となっては周辺国の潜水艦の航路を確保している状況です。
わが国の領海内での、他国の軍事的な活動についての取り締まりも不十分です。国際慣習法では、領海に侵入し沿岸国の安全を害する活動を行う外国軍艦に対して、必要な場合に武器の使用が認められています。機雷の敷設や武装工作員の搬出などに対抗する措置(例:爆雷の投下)の導入です。こちらは、マイナー自衛権の問題に関わる極めて解決の難しい問題ですが、わが国の安全を考えると、タブーにこだわらず議論すべき時期が来ていると私は考えています。
まず、2法案の概要をご説明します。
海洋2法のうち1本は、海洋国家として海洋資源の開発や保全、国際的協調などを規定した海洋基本法です。この法律の最大のポイントは、外務省、資源エネルギー庁、水産庁、海上保安庁、防衛省などの縦割りを廃して、内閣に海洋政策本部を設置し、担当大臣を置くことにあります。この法律によって、総理と担当大臣の政治判断で、海洋の開発が可能となります。
もう1本は、東シナ海でのガス田の試掘を念頭に置いて、海洋構築物の周辺500メートルに安全水域を設定できるとした法案です。日中間の海洋権益を巡る問題は、中川大臣の東シナ海ガス田視察や、試掘権の設定など、日本側がアクションを起こしたときに、交渉が前進してきました。この法律が、こう着状態に陥っている日中交渉を前進させるきっかけになるものと、期待されます。
2法案は成立の運びですが、まだまだ残された課題があります。
国連海洋法条約は、200海里(1海里=1852m)の排他的経済水域を定め、資源探査の禁止や違法な科学的調査について、沿岸国の権利を定めています。わが国は、国連海洋法に基づいて国内法を整備するのではなく、日中間で口上書を交わしてお茶を濁してきました。もちろん、海洋権益を巡る問題は、日中間に留まるものではありません。民主党では、国連海洋法条約の国内法化を進めてきましたが、超党派で合意するには至っていません。
もう一つ残されているのは、同じく国連海洋法条約で12海里に定められた領海の問題です。まず、改めるべきは、宗谷海峡、津軽海峡、大隈海峡などの5つの海峡で領海を3海里に制限することで、主権が直接的に及ぶ範囲を自ら制限している問題です。ちなみに、一国の領土間の領海の幅を12海里より狭く設定している国は、わが国以外にはありません。米海軍に対する配慮と航行の自由を確保するという観点から、「当分の間」領海法を制限したものですが、今となっては周辺国の潜水艦の航路を確保している状況です。
わが国の領海内での、他国の軍事的な活動についての取り締まりも不十分です。国際慣習法では、領海に侵入し沿岸国の安全を害する活動を行う外国軍艦に対して、必要な場合に武器の使用が認められています。機雷の敷設や武装工作員の搬出などに対抗する措置(例:爆雷の投下)の導入です。こちらは、マイナー自衛権の問題に関わる極めて解決の難しい問題ですが、わが国の安全を考えると、タブーにこだわらず議論すべき時期が来ていると私は考えています。