細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

エネルギー・環境問題

2007-02-25 01:15:37 | 国会活動
今日はエネルギー問題です。2月21日、経済産業委員会でエネルギー問題の質問をしました。自然エネルギーと核問題。エネルギー問題とはコインの裏表の関係にある環境問題についても触れました。

エネルギー・環境問題は、皆さんに是非とも関心を持っていただきたいテーマです。分野が分野だけに少々マニアックな部分も含みますが、私なりに踏み込んだ問題提起もしてみようと思っていますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

私がエネルギー問題に関心を持ったきっかけは、三和総研時代(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)に、石油問題などのプロジェクトを担当したのがきっかけです。当時は主にWTOなどの通商問題を担当していたのですが、そこでもエネルギー問題を扱う機会が増え、専門分野をシフトしたかたちです。資源小国でありながら、石油メジャーを持たず、国策としてもエネルギー問題に取り組んでいないわが国の状況に大いに危機感を持ちました。この状況は、今も変わっていません。


議員になってから、最も深く関わったのが海洋権益問題です。日中間のガス田開発問題への対応はもとより、海洋国家としてなすべき課題は山積しています。過去何度か、このブログの中でも、海洋権益について書いています。


もう一つ、継続的に関心を持ってきたのが新エネルギーです。ちなみに、再生可能エネルギー、自然エネルギーなど、様々な表現方法があり、定義も必ずしも定まっていません。定義が曖昧になっていること事体、国際比較や国家としての目標が不明確になっている原因です。日本の場合、新エネルギーとしては、太陽光、バイオマス、地熱などに注力すべきと考えています。

ここ数年の国際的な資源獲得競争の激化と、深刻な地球温暖化を考えると、もっと、新エネルギーに対する社会的関心が高まってしかるべきと考えます。政府は、最近、新エネルギーの発電義務量を2014年時点で発電全体の1.6%(数字を訂正しました)にするという嘆かわしい目標を出しました。経済産業委員会で私が問題にしたのは、新エネルギーが最も大切な初期の普及段階期に入った中で、従来と比較して、義務量の伸びが鈍化していることです。日本各地で新エネルギーへの取り組みが盛り上がっていることを考えると、日本政府にやる気が無いとしか思えません。

発電側だけに義務を課すのではなく、政府はもちろん、電力利用者側にも負担を課して、新エネルギーの普及を加速させる必要があります。強調しておきたいのは、ヨーロッパや米国の各州はもちろん、中国などの途上国でも日本よりもはるかに戦略的・野心的な目標が導入されていること、そして、わが国にはこの分野で卓越した技術力があることです。


エネルギー問題を考える上で、難しい局面を迎えているのが原子力です。日本政府は原子力発電を基幹電源と位置づけており、私も、地球温暖化と脆弱なエネルギー構造を踏まえて、原子力発電の必要性を認めています。難しいのは、原子力発電に欠かせない濃縮ウランの確保と、使用済み核燃料の処理をどうするかです。ちなみに、日本は非核保有国の中で、唯一、再処理を国際的に認められている国です。

イランや北朝鮮の例を挙げるまでの無く、原子力発電は核兵器の開発と裏腹の関係にあります。資源獲得競争に乗り出した中国、インドはもとより、最近はインドネシアにベトナム、中東の産油国ですら原子力発電に関心を持つようになってきました。原子力発電と密接不可分な濃縮ウランやプルトニウムの扱いは、国際社会が直面する21世紀の最大の課題と言っても過言ではありません。

国際社会も動き出しています。IAEAは、いち早く再処理とウラン濃縮に関する国際的な枠組みを提唱していますし、再処理の分野で最先端を行くフランスや、ウラン濃縮で先を行くロシア、最近は米国や中国も再処理に動き出しました。最大のウラン産出国である豪州も、戦略的な輸出拡大に動き出しています。これらの物資は国際的な脅威であると同時に、この分野でイニシアティブを取る国は、国際社会において力を持つことは間違いありません。

日本は、国際的な流れからは取り残されています。ウランの輸出・流通拡大も、値段が下がってくれれば有り難いという程度の認識です。甘利大臣も答弁していましたが、再処理ですら国内問題として扱っているのです。わが国が取り組んでいるプルサーマル計画や高速増殖炉は、費用面や安全面でリスクを抱える一方で、原子力発電のバックエンドの国際的なキーステーションになれば、安全保障上、日本は今までに無い強い外交カードを持つことになります。逆に、原子力発電は継続するが再処理はしないということになれば、最終処分地にしても、再処理にしても、依存する国に、大きな弱みを握られることになります。

誤解を恐れずに言えば、「毒を食らわば皿まで」と判断するかどうか、日本は大きな岐路に立たされているというのが私の認識です。

そんなわけで、明日は、高速増殖炉研究開発センター「もんじゅ」と新型軽水炉ふげん発電所のある敦賀まで行って来ます。視察の成果は、追ってご報告します。