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吉田喜重監督『告白的女優論』

2013-09-14 05:12:00 | ノンジャンル
 吉田喜重監督・共同製作・共同脚本の'71年作品『告白的女優論』をDVDで見ました。 
 灯台のある岩場で撮影をする女優・海堂あき(浅丘ルリ子)。女優志願の付け人であるリエ(太地喜和子)にキスしようとするところを危うく女優の一森笙子(岡田茉莉子)に見つかりそうになるマネージャーの南川(三國連太郎)。笙子は突然声が出なくなったと言って、南川を慌てさせます。雪の飛行場に降り立つ女優の伊作万紀子(有馬稲子)とその友人のノブ。万紀子の衣装係であるノブに、万紀子は今日は外側以外の私を知ってほしいと言います。自分の恋人の唐沢に電話したのではと、ノブを疑う万紀子。笙子は睡眠療法を受け、夢の中で自分の夫とリエが抱き合っていたのを見てしまったことが失語症の原因であることを知ります。
 ノブに自分の育った美しい町を見せる万紀子。万紀子は自分の母は名も無い舞台女優で、父に捨てられ満州で自分を産み、戦前共産党員だった男の世話になって母子ともに暮らしたことを話します。雪道を走る車。車から降りた万紀子は、父が主催していた演劇サークルで知り合った男と、あの林の中で心中をし、自分だけ助かったと言います。心中の相手(細川俊之)と薬を飲む万紀子。
 男に抱かれるあき。それを撮影するカメラ。あきの出演場面はクランクアップし、彼女は取材を受けると車で去り、彼女の友人である京子(赤座美代子)は置いていかれてしまいます。あきの許を訪れる能勢監督の夫人。夫人が瓶を差し出すと、あきはそれを払い除けますが、夫人はそれはただのうがい薬で、硫酸でも入ってると思った?ととぼけます。あきは笙子とコンビを組んでいた能勢監督を笙子から奪ったので、笙子はあきを嫉妬しているのでは、と南川は言います。笙子はプールに浮かぶプラスチックの白い玉を見て、今度の映画に出たくなかった理由が分かったと言い、それは夢の中であの白い玉が喉につかえたからだと南川に言い、睡眠療法を行う戸山博士にすぐ知らせようとします。
 京子が行けば能勢監督が喜ぶから行って来なさいと言うあきが言うと、京子は能勢監督の夫人も自分も両方ともみじめな思いになると言います。万紀子の許へは彼女の母(月丘夢路)に呼ばれた唐沢が来ます。町に彼女が帰っているのを見た町民が、彼女の存在を母に知らせてくれたとのことでした。詳しいことはノブに聞いてと万紀子は言い、唐沢は一旦帰ります。
 何者かにおびえるあき。シャワー室で抱き合う能勢監督と京子を見てしまったあきは、自慰をします。笙子は戸山博士の使いで来た波多を自分の夫に見立て、夢の再現をし、夫がリエと浮気していた事実を突き止めると、波多は笙子に離婚を勧めます。リエも始めから笙子を踏み台にして女優になろうと思っていたと告白しますが、彼女が去ると、波多は今の話は彼女の創作だろうと言います。笙子と今まで関係のあった男をすべて覚えていると言う南川。
 万紀子は父がまだ生きていることを知り、今まで騙してきた母をなじります。そして自分が2度目に心中しようとした男が、実は自分の父だったことを知ります。
 京子はあきに、能勢先生との情事を見てほしかったのだと言い、高校時代に担任教師(川津祐介)に自分が強姦されたのを助けなかったのを今でも恨んでいると言いますが、あきは犯されたのは京子ではなく実は自分で、それも自分から率先して犯されたことを告白します。
 万紀子は狂言のガス自殺で小さな役を手に入れたことをノブに明かされ、笙子と音楽家を争って負け、左手首に傷をつけたことも思い出すことになります。唐沢の前で死のうとして結局死ねない万紀子。あきの許には男(原田芳雄)が現れ、あきはその男を浴室に閉じ込めますが、結局抱き合います。笙子は南川に見切りをつけ、最後のチャンスをくれと言う彼を置いて車で出発しますが、南川はトラックに轢かれ、死ぬ間際に「君は女優だ」と言います。
 様々な質問を受ける3人。彼女らは並んでこちらに歩いてくると、映画は終わります。

 人間関係が複雑で分かりにくい部分がありましたが、画面の持つ迫力は吉田監督ならではのものでした。 鏡の多用も見られたと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto