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吉田喜重監督『鏡の女たち』その2

2013-09-24 05:58:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 正子を連れに来てくれた郷田に、正子は昨晩母子手帳のことを隠していたことで光岡から怒られたと言うと、郷田はそれだけ気にしてくれてる証拠だと言います。家に入るなり割れている鏡を指差して「この鏡ですのね」と言う正子に、愛は「あの子が戻るまでこのままにしておこうと夫が言っていたので」と答えます。正子は夏来に謝り、美和が使っていて今は夏来が使っている部屋を見せてもらいます。美和の写真は夏来が恋しがらないように愛がすべて処分したと言う夏来。記憶がなくても1人で生きてきた女としてのあなたに興味があって今日会ったと言う夏来。正子は自分は男に頼るしかないだらしない女だと言った後、広島で海の見える病院を思い出したと言い出します。美和は広島で生まれたと愛は言い、その表情が割れた鏡に映った後、3人はすぐ広島へ行くことにします。
 ホテルのチェックインで“川瀬美和”と書いた正子に礼を言う愛。小林とばったりと会い、正子と夏来を紹介する愛。丸鏡に映る愛。窓の外の夜景と、窓の映り、それに重なる愛の顔。翌朝、夏来と小林は朝食で出会い、夏来が私は私自身を知りたくて初めて広島に来たと言い、小林に祖父のメモを見せてほしいと言います。
 この病院で初めて川瀬に会い、彼は東京の大学病院から来ていた医者だったと語る愛は、川瀬が死んだベッドに跪くと、「あなた、美和を連れてきましたよ。孫の夏来も一緒です。よーく、見て下さい。こうして2人を見せてあげたかった」と叫び、川瀬は2度目の夫で、本当のお父さんは美和が4歳の時に死んだと告白しますが、美和は何も思い出せません。その夜、夏来はアメリカのボーイフレンドのネッドに、自分のアイデンティティを見つけたので、もうアメリカには戻らないとメールを送ります。翌日、正子は「家族ゲームはもう止めましょう。娘の役を演じるのはもう嫌。DNA鑑定をしてください」と言い、愛は「自分の過去を取戻そうとしている。私がどういう女か話しましょうか?」と言うと、荒波とその前で助けを呼び叫んでいる少女、そして少女が溺れればいいと立ち尽くす自分が見えると言い、「私は子供を殺そうとした女、それでも私のことをお母さんと呼んでくれる?」と夏来に尋ねます。
 その後、夏来は小林と会い、アメリカ人捕虜の大尉の通訳・伊澤が川瀬医師にそのアメリカ人の存在を教えてくれたという事実が新たに分かったと知らせてくれます。彼女らの前を運ばれて行く巨大な原爆の写真パネル。「もう帰りましょうか? ここにいても苦しむだけね」と言う愛に、夏来は「ママ、教えて、伊澤という人は誰? ママ、知ってるんでしょ? 小林さんから聞いたの。本当の私って誰?」と言うと、愛は「美和も同じことを言った。広島と私、そして家を出て行った」と話します。
 夕暮れの原爆ドーム。川に向かってベンチに並んで座る3人。愛は話します。「あの日、呼ぶ声が聞こえた。そこには両手を縛られたアメリカ人大尉。呼んだのは伊澤だった。あなたの父、夏来のおじいちゃん。8時15分。光と地震と熱風。その後の静けさ。穴から出た伊澤は戻ってきて『町が消えている』と言うと、大尉は『アトミック・ボブ! 出てはならない。放射能にやられる!』と言った。私たちは救われた。長い時間。そして黒い雨。次の日の朝、この川には夥しい遺体。」灯籠流しの映像。「私の父や母も亡くなり、伊澤と暮らすことになった。1人では生きていけなかった。あの人は私を愛し、それがただ1つの心の支えだった。終戦。伊澤は捕虜を虐待した罪でC級戦犯となり拘置されたが、原爆後遺症で釈放され、そしてあなたが産まれた。被爆は遺伝すると言われ、伊澤は産むのに反対だった。父が誰だが言うなというのが伊澤の遺言だった。(夏来、愛を抱く。)あなたたちに全てを話し、償いたかった。この母を許してください。(愛は正子を抱く。)」灯籠流しの映像のアップ。
 レジの正子。近藤先生の紹介で正子が実の子ではないかという老夫婦が現れます。光岡同席の許、正子のDNA鑑定の結果をその老夫婦に知らせることになりますが、老夫婦は失踪した実の子が産んだばかりの子供を殺して28年前に失踪した事実を話し、しかし時効だから罪は問われないと言います。(また明日へ続きます‥‥)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

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