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吉田喜重監督『人間の約束』

2013-09-18 06:36:00 | ノンジャンル
 吉田喜重監督・共同脚本の'86年作品『人間の約束』をDVDで見ました。
 早朝にジョギングする依志男(河原崎長一郎)。彼の家にパトカーが到着し、彼の母親タツの死因を田上刑事(若山富三郎)が調べています。ぼけのひどいタツの夫・亮作(三國連太郎)は自分がタツを絞殺したと言いますが、夕べの激しい雨のことは忘れています。田上はタツの髪の毛と畳が濡れているのに疑問を感じます。署に連行された亮作はやはり自分がやったと言いますが、失禁します。
 解剖が終わり自宅に戻されたタツの遺体のそばに遺品と、タツが常にそばに置いていた水鏡を置く依志男の妻・律子(佐藤オリエ)。胃に水があったことから、田上はタツが水鏡に顔を突っ込まれて殺されたと推理します。亮作はタツと西方巡礼に行った時の杖を柩にいれてくれと言いますが、そんな事実はありません。
 職場の依志男に電話があり、タツが自宅から離れたところで保護されたと律子は知らせます。依志男は帰宅する途中、2ヵ月前に職場に戻った冴子(田島令子)に声をかけます。タツは故郷の大沼に行って来たと言いますが、亮作は藻がきれいだった大沼はもうなく、電車とバスで片道3時間ものところまで往復できるはずがないとタツに言うと、タツは初めての失禁をします。
 タツの痴呆は激しくなり、律子を鬼扱いし、亮作はタツを入院させます。タツの体をさすると「死なせて」というタツ。他の入院患者もタツの口まねをして笑い、亮作は鏡に写る自分の姿に挨拶したことに気付き、ショックを受けます。夜の病院でシーツを破る男たちや首吊りのマネをする男。翌日、亮作は自分の戦死した兄の手紙を自分名義で自宅に残して姿を消しますが、自分の墓穴を墓地で掘っているのを住職に見つかり、依志男らに通報されます。亮作を迎えに家を出た依志男は冴子の家により、彼女とよりを戻します。
 病院でタツの世話をする亮作は、大沼の畑を売り、戦死した2人の兄弟の恩給があれば自分も惚けても十分に暮らせるとタツに言います。タツが失禁した小便が床に至り、他の入院患者に指摘され、タツを抱いて逃げ去る亮作。依志男が帰宅すると律子に浮気がばれ、前は子供の手前我慢したが、今回は義父母の世話を自分だけにさせて浮気するなんて、と律子は怒りを爆発させます。道を歩いていて失禁する亮作。恐山を巡礼する2人。タツは昨晩隣のベッドの人が亡くなったと言って、食事を食べようとしません。会いに来ない家族に架空の電話をし続ける同室の老女の姿を見て、律子は自分がやはり世話をするので退院させましょうと言います。
 水鏡を見て水藻が見えると言うタツ。風呂で沈んでいくタツをそのままにして殺そうとした律子は、自分の行いを恥じ、寝込んでしまいます。婆さんを楽にするのは俺だと言う亮作。依志男は律子も自分も疲れているので、またタツを入院させようと亮作に相談しますが、その夜亮作はタツとガス自殺しようとし、依志男は俺がここでタツの面倒を見ると言います。
 律子が世話をすると鬼扱いし、依志男を呼ぶタツは、依志男の耳もとで「死なせて、早く」と囁きます。
 隣の空地に廃品を集め始める亮作と、それをあきれて見つめる依志男たち。依志男の息子の鷹男は惚けたら動物扱いすればいいと言って依志男に殴られ、律子は泣き崩れます。
 水鏡で口紅をつける穏やかな表情のタツ。亮作はお前を楽にしてやるぐらいの力は残っていると言って、自分の顔をタツの顔に合わせ故郷の歌を歌います。依志男は夜に冴子に会いに行き、もう会わない意思を伝えます。亮作は水鏡で濡らしたタオルでタツを窒息死させようとしますが、できません。その後帰宅した依志男は、タツが自ら何度も水鏡で窒息死しようとするのを見て、思わず頭を押させて窒息死させてしまいます。
 そして冒頭のシーン。署内の亮作は依志男も分からなくなってしまっています。依志男は亮作がつけていた日記を田上に渡すと、犯行日のところに「あいつが来てやった。だからあいつは死んだ」と書かれていました。田上は依志男に明日「あいつ」について詳しく聞きたいと言い、別れますが、帰宅する車の中で事実を律子に明かした依志男は、車を警察署にUターンさせるのでした。

 特徴的な画面構成はなく、登場人物の演技をより深く見せようという意図が感じられた映画でした。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto