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ジャック・ペラン&ジャック・クルーゾ監督『オーシャンズ』

2011-03-26 08:42:00 | ノンジャンル
 ジャック・ペラン&ジャック・クルーゾ監督の'09年作品『オーシャンズ』をWOWOWで見ました。
 海面で白く泡立つ波。それを海面の下から写した映像。海中のトカゲ。砂浜のカブトガニとウミガメ。ロケットの打ち上げとともに「もう一つの宇宙としての海」というナレーション。輝くプランクトン。無数のクラゲ。イワシの大群を狙う、猛スピードで泳ぐハセイルカの大群と、海面に突き刺さる海鳥たち、サメ、ニタリクジラ。ハダカイワシの大群。海面を漂うムラサキタコ。5mのヒレを持つ世界最大のエイ・オニイトマキエイ。ギンナメアジの大群。砂浜のガラパゴスオットセイ。ゆったり泳ぐアシナガイルカ。ザトウクジラの親子。磯のカニ。海面を泳ぐアフリカオットセイを狙うホウジロザメ。オタリアを狙うシャチ。オキアミを食べるシロナガスクジラ。月明かりの珊瑚礁での様々な生物。海底の草をあさるジュゴンとアオウミガメ。アオウミガメの巣立ちを狙うグンカンドリ。日中の珊瑚礁。大きな魚にまとわりつく小魚。魚たちの生殖活動。様々な補食。大移動の末、自分たちの体で巨大な山を築くコシマガニ。大移動するマッコウクジラたち。コブダイやオーストラリアコウイカなどの変わった生き物。口を開けたまま進むウバザメ。狩りをするザトウクジラ。網に捕らえれれ、死ぬマンボウ、カメ、クジラ。虐殺されるイルカ。ヒレだけ取られ海底に沈んでいくサメ。銛を撃たれるクジラ。絶滅した海の動物たちの剥製を見て回るペランと少年。発見の必要と多様性の維持、人間と自然の和解を説くナレーション。ホウジロザメとともに泳ぐ人。魚の住処となっている沈没船。シケの中を進む船。衛星写真に撮られた海の汚染。ゴミだらけの海を泳ぐアザラシ。南極のきれいな海に生きる生き物たち。北極で生きる動物たち。大水槽の魚たちを見るペランと少年。そして温暖化の地球が再生される可能性を説くナレーションで映画は終わります。
 『WATARIDORI』のスタッフで作られた映画でしたが、ここでもやはり驚くべきカメラワークが随所にあり、猛スピードで進むハセイルカの群れの中を進むカメラなど、まさに「神の視点」とでも呼ぶしかない映像が満載でした。また、随所で出て来る少年は、『ロシュフォールの恋人たち』でおなじみのジャック・ペランの面影が見てとれるような気がして、もしかしたら彼のお孫さんなのかも、などとも思いました。自然保護の主張の強いナレーションは別として、映像だけでも十分楽しめます。文句無しにオススメです。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)

プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』

2011-03-25 00:19:00 | ノンジャンル
 ジャレド・ダイアモンドが推薦していた、プリーモ・レーヴィの'47年作品『アウシュヴィッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』を読みました。実際にアウシュヴィッツ強制収容所に収容された著者が書いたノンフィクションです。
 '43年12月13日に24歳だった著者はファシスト軍によってイタリアで逮捕され、ユダヤ人としてモーデナ近郊のフォッソリに送られ、アメリカとイギリスの戦時捕虜用の広大な抑留収容所に入れられます。そして翌年2月に移動を命じられ、列車に詰め込まれます。その旅行中、著者らが底なしの絶望という表面にとどまっていられたのは、ひとえに不自由な環境、殴打、寒さ、渇きのおかげでした。ポーランドのビルケナウに到着すると、収容所に入ったのは96人の男と29人の女だけで、残りの5百人を超える人たちは、1人の例外もなく、二日と生きていませんでした。持ち物はすべて没収され、裸にされて髪を刈られ髭を剃られます。そして足が水に漬かったままシャワー室に長時間放置され、やっとシャワーを浴びられた跡に、自分のものではない縞模様の服と木靴(脱走できないように)を支給されます。それからは家、衣服、習慣など、文字通り持っているものすべて、愛する人とともに奪われた、魂の抜けた存在として、毎日を生きることとなります。すべてのものを役に立たせるようになり、たとえば、針金は靴をしばるにに、ぼろきれは足当てを作るのに、紙は上着の中に詰め込んで寒さを防ぐのに使われるようになります。爪は歯で噛み切るしかなくなり(足の爪は靴の摩擦で十分)、便所や洗面所に行く場合には、持ち物をみな持っていく必要があるし、顔を洗っている時は、膝の間に衣服の包みをはさんでおかなければならない、というのもそうでもしないと一瞬のうちに持ち物は盗まれてしまうからです。毎夜悪夢にうなされますが、そんな生活の中でも物々交換の市が立ちます。著者はやがて化学コマンドーに選ばれますが、それは名ばかりの知識階級で、かえって労働は重くなります。'44年8月になると連合軍による爆撃を受けるようになり、一方で著者はイタリアの民間人労働者から6ヵ月にわたってパンや配給の残りをもらえるようにもなります。やがて10人中7人が死ぬ冬がまた到来しますが、著者は研究所勤務の3人に選ばれ、九死に一生を得ます。そして'45年1月11日に著者は猩紅熱にかかり、病院施設に入院し、その後、1月18日にドイツ兵は健康な収容者を連れて移動したため、著者は収容所に残されます。そして何とか食糧と水を確保した後の1月27日にロシア軍によってようやく救出されたのでした。
 アーリア系ドイツ人の政治犯や刑事犯も同じ収容所にいたこと、彼らもユダヤ人と同じ縞模様の服を着ていたのですが、刑事犯は上着の番号の脇に緑色の三角形を縫い付けていて、政治犯は赤い三角形を縫い付けていたこと、収容所の中にも連合国のノルマンディー上陸、ロシア軍の攻勢、ヒトラー暗殺計画の失敗のニュースが届いていたことなど、今までに知らなかった事実も多く知りました。アウシュヴィッツの実録物として、興味のある方にはおススメです。

マキノ雅弘監督『ごろつき』

2011-03-24 09:02:00 | ノンジャンル
 マキノ雅弘監督の'68年作品『ごろつき』を、スカパーの東映チャンネルで見ました。
 炭鉱で働くイサム(高倉健)は、テレビでキックボクシングを見ていて、仲間から東京に出てボクサーになるように焚き付けられます。居候させてもらっている叔父が弟に度々暴力を振るうため、イサムは病身の母を背負って、弟と妹を連れ、雨の中、叔父の家を出ます。イサムを兄貴と慕う一郎(菅原文太)とともに東京に出たイサムでしたが、キックボクシングのジムがなかなか見つからず、野宿をしているところを、彼の歌を聞いた男から食事を奢られます。やっとジムを見つけたイサムは体の良さを認められて、会長(大木実)に入会を許され、会長の妹のトモコ(吉村実子)に住み込みの雑用係として雇われます。会長はイサムの指の傷に気付きますが、それは幼い頃母にスッポンを食べさせるため、わざとスッポンに噛まれた跡でした。家族からの手紙をトモコに渡して、一郎の元を訪ねるイサム。金持ちの犬の世話を住み込みでしていた一郎が、犬よりも粗末な食事をしているのに怒ったイサムは、犬の金玉にエアスプレーをかけてしまい、一郎はクビになります。盛り場で流しに暴行しているヤクザたちを止めに入ったイサムらは、流しの元締めの浅川のところに連れていかれますが、それは食事を奢ってくれた男でした。浅川はイサムと一郎が組んで流しをすることを勧め、イサムはそれを報告しにジムに向かいますが、その後浅川の元に元浅川の部下だった唐澤が現れ、土地を売ることを強要します。イサムはケンカの時のディフェンスの良さをトモコに誉められ、ジムの練習生として本格的に練習を始めることになります。夜は流しで「網走番外地」や「唐獅子牡丹」を歌うイサム。唐澤の手下は歌わせても金を払わないのでイサムらと乱闘となりますが、そこに唐澤が現れ、金を払ってやります。唐澤との事情を尋ねるイサムに、浅川は、テキ屋をしていた組を畳む際に、家を担保にして唐澤から金を借りたことを告げ、自分の手を汚さない唐澤のずる賢さも教えます。唐澤はイサムと親しい少年を車ではね、死なせますが、唐澤が弁護士しか寄越さないことにイサムは怒ります。イサムはデビュー戦を苦戦の末KO勝ちで飾りますが、浅川宅は放火で全焼します。浅川の身内の者たちは金を出し合ってプレパブを建てますが、浅川は単身唐澤の元に乗り込み、返り討ちに合います。会長は所詮やくざ同士の争いなのだから巻き込まれるなとイサムに言いますが、それを聞いていた一郎は、やはり単身で唐澤宅に斬り込み、病院に運ばれると、雨が激しく降り始めます。一郎はイサムにチャンピオンになってくれと言って亡くなり、イサムは浅川宅の焼跡から見つけていた日本刀を持って、唐澤宅に斬り込み、見事復讐を遂げます。イサムの母の元にはトモコからの手紙が届き、イサムの刑期は長くならないだろうこと、東京に来て一緒に住もうということが書かれているのでした。
 「網走番外地」シリーズや「日本侠客伝」「昭和残侠伝」シリーズの後に撮られ、高倉健がキックボクシングをやるというかなりの珍品であり、吉村実子が普段のマキノ映画にはない若さをもたらしていたと思います。菅原文太がギターをちゃんと弾いているところも見所です。

ジェフリー・ディーヴァー『ロードサイド・クロス』

2011-03-23 08:36:00 | ノンジャンル
 ジェフリー・ディーヴァーの'09年作品『ロードサイド・クロス』を読みました。
 ある夜、カリフォルニア州警察のパトロール警官はハイウェイの路肩に翌日の日付の書かれた、交通事故の死者を悼む十字架を、添えられたバラとともに発見します。翌朝、17才の女性が駐車場で襲われ、トランクに閉じ込められて海岸に放置され、あやうく溺れそうになる事件が起きます。カリフォルニア州捜査局のボディランゲージ分析の専門家キャサリン・ダンスは、カリフォルニア大のコンピュータに詳しい教授ジョン・ボーリングに協力を仰ぎ、彼女がネットで自分が一番怖いものの一つが溺死であると明かしていること、地域限定のチルトン・レポートというブログの、二人の少女が交通事故でなくなったことを扱った〈ロードサイド・クロス〉という記事に対して、その交通事故で車を運転していた同じ高校の同級生を中傷する書き込みを彼女がしていたことを突き止めます。その少年トラヴィスの家をダンスが訪ねると、ブログの中だけでなく、現実でも彼の家は攻撃の対象となっていました。ネットでは〈ロードサイド・キラー〉の呼称が広まりつつあり、ユーチューブにトラヴィスの動画までも投稿され始めます。やがて十字架に付着していた繊維とトラヴィスの家にあったパーカーの繊維が一致することが分かりますが、その直後、トラヴィスの行方が分からなくなります。トラヴィスのバイト先の近くの花屋でバラの花束が昨日12束盗まれていることも分かり、トラヴィスの自転車に付着していた砂がタミーの発見された海岸のものであることも分かります。一方、サンフランシスコ司法局からやってきたロバート・ハーパーは看護婦をしているダンスの母を安楽死殺人の容疑で逮捕します。ダンスの母の保釈はすぐに認められますが、その直後、今日の日付の新たな十字架が見つかり、その頃、やはりトラヴィスに対して中傷を書き込んでいた17才のケリー・モーガンが何者かに襲われ、地下室に連れ込まれて、有毒ガスを発する薬品をまかれます。ボーリングはブログのコメントの癖とSNSとを照合し、中傷者12名を特定すると、その中で唯一連絡の取れなかったケリー宅にダンスは急行し、意識不明のケリーを発見します。彼女は意識を失う直前に、トラヴィスが銃を持っていたと言い、また彼女の部屋の窓の外には無気味なお面が置いてありました。ダンスは令状を取り、トラヴィスの家を捜索すると、トラヴィスの父の銃がなくなっており、ケリー宅で発見されたお面のスケッチと、4千ドルもの新札の現金、事故で唯一生き残った少女ケイトリンの写真を発見します。ダンスはケイトリンに会いに行くと、ケイトリンは好きな男性にパーティで焼きもちを焼かせようとしてトラヴィスに車で送らせたと言います。そしてダンスが帰宅すると、彼女の家の庭にも十字架が置かれていました‥‥。

 ディーヴァーのどんでん返しはこの作品でも健在でしたが、ラストの真犯人の謎解きだけはちょっと無理があるように感じました。それでも2段組で500ページという大部ながら飽きさせずに最後まで読ませる手際は、さすがディーヴァーだとも思いました。次回作を読むのが今から楽しみです。なお、あらすじの続きは私のサイト「Nature Life 」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Novels」の「ジェフリー・ディーヴァー」の場所にアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)

クエンティン・タランティーノ監督『パルプ・フィクション』

2011-03-22 10:10:00 | ノンジャンル
 クエンティン・タランティーノ監督・脚本の'94年作品『パルプ・フィクション』をWOWOWで見ました。
 「パルプ(1)柔らかく湿った形状のない物体(2)質の悪い紙に印刷された扇情的な内容の出版物」の字幕。ファミレスでカップルが拳銃を構えて強盗を始めます。タイトル。ビンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)は雑談をしながら部屋に乗り込み、そこにいる若者から金塊が入ったカバンを奪った後、ジュールスが復讐を示す聖書の一節を言い終わるやいやな、二人して一人の若者ブレッドに銃弾の雨を降らせます。「ビンセント・ベガとマーセルス・ウォレスの妻」の字幕。峠を越えたボクサーであるブッチ(ブルース・ウィリス)に八百長を持ちかけ金を握らせるマーセルス。ビンセントは全身にピアスをする妻(ロザンナ・アークエット)を持つランスからヘロインを買います。ボスのマーセルスの命令で、その妻である女優のミアに付き合うビンセントは、彼女に60年代を演出した豪華なクラブに連れていかれます。トイレでヤクをキメたミアは、ダンスコンテストにビンセントと出て優勝し、家に帰りますが、ビンセントがトイレに行っている間にヤクのやり過ぎで鼻血を出し失神してしまいます。ビンセントは彼女をランスの元に運び込み、彼女の心臓にアドレナリンを直接注射すると、やっと彼女は意識を取り戻します。二人はお互いにこのことをマーセルスに秘密にすることを誓います。少年のブッチの元に、戦死した父の同僚だった大尉(クリストファー・ウォーケン)が訪れ、ブッチの曾祖父から受け継がれて来た金の腕時計を渡してくれますが、それは試合を前にしたブッチの夢でした。「金時計」の字幕。試合で相手を殺してしまい、控え室から逃げ出したブッチは、恋人が待つモーテルに行きますが、彼女が彼の部屋から金時計を持ち出すのを忘れたことを知ると怒り狂い、自ら取りに行きます。無人の部屋で無事に時計を手に入れ、台所でトーストを焼いていると、キッチンの上にマシンガンが置かれているのに気付きます。トイレから出て来たビンセントは、トースターの音でビックリしたブッチによって射殺されます。浮かれて車を運転するブッチは、横断歩道を歩くマーセルスと目が合い、咄嗟に彼を車ではねますが、自分の車も事故ってケガを負います。意識を取り戻したマーセルスは、拳銃を撃ちながら、足を引きずって逃げるブッチを追いますが、店で待ち伏せしたブッチに押し倒され、殴り殺されそうになります。店の店主はライフルと二人に突き付けて、椅子に縛り上げ、仲間の警官を呼び、殺人ゲームを始めようとします。地下に閉じ込められていた覆面男にビッチを見張らせ、二人は先ずマーセルスを奥の部屋に引きずって行きます。縄をほどいて覆面男を撃退したビッチは一人で逃げようとしますが、思いとどまり、店にあった日本刀を持って奥の部屋に行くと、マーセルスは警官にカマを掘られていました。もう一人を背後からビッチが斬ると、解放されたマーセルスはショットガンで警官の足を撃ち、仲間を呼んで警官の肛門をバーナーで焼くことにし、ビッチにはこれで八百長の件はチャラにする代わりに、今夜中に町を出て二度と戻ってくるなと言います。ビッチは恋人とともに店のバイクで走り去ります。「ボニーの一件」の字幕。ブレッドを射殺した際、ビンセントとジュールスは、トイレから出て来た若者に銃を乱射されますが、弾はすべて外れて助かります。ジュールスは神による奇跡だと言いますが、ビンセントはただの偶然だと言い返します。一人生き残った若者を乗せて二人は車で去りますが、ビンセントが過って若者の頭を撃ってしまい、二人と車の中は血だらけになります。ジュールスの知人のジミー(タランティーノ自身)のガレージに取りあえず車を入れさせてもらいますが、ジミーは妻が帰ってくるまでに出ていけと言い張り、ジュールスはマーセルスに頼んで掃除屋のウルフ(ハーヴェイ・カイテル)に来てもらいます。彼は死体をトランクに入れさせ、車の中の清掃も二人に指示し、血だらけになった二人を全裸にして冷水を浴びせ、ジミーのTシャツと短パンを着させ、スクラップ業者に車を処理させます。二人はファミレスに行き朝食を食べ、ジュールスはまた奇跡に言及し、金塊を持ち逃げすることにしたと言いますが、そこで冒頭の強盗が始まります。金塊のカバンを発見したカップルに、ジュールスは有り金を渡して逃げさせ、自分たちはカバンを持って堂々とファミレスを後にするのでした。
 字幕のスタイルが既にこの時から始まっていたのを知りました。ロバート・リチャードソンでない撮影は原色の美しさが今一つでしたが、血の生々しさは出ていたと思います。残酷なシーンに耐えられる方にはオススメです。

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