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『旅に倦むことなし アンディ・アーヴァインうたの世界』その4

2021-07-18 00:32:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

 次の詩は『三人の狩人』。「殺人をめぐるこの非常に生々しい歌は、1960年代前半に、違うメロディのバージョンを、スウィ-ニーズ・メンの仲間ジョニー・モイナハンから教わった。「跳び出したる三人の不遜にして乱暴な 剣を振りかざす男たち」という一句が私たちは気に入っていた。アイルランド以外にも、イングランド、アパラチア、カナダ、と各地で収集されている歌である。
 サム・ヘンリーの歌集には、デリー州のコールレーンでうたわれていた、結末がユニークなバージョンが載っている。3人の狩人が一団となって、追い剥ぎ11人全員と娘、隊長をみんな殺してしまうのである。」

 そして実際の詩は次のようなものです。
「耳にはさんだのは 勇敢にして豪胆なる三人の狩人の話
市が立った一日で 五百ギニー稼いだ
ウィックローの山々を越え、共に家に帰る途中
おい馬をとめろ ジョンソンが叫ぶ 女の悲鳴が聞こえたぞ

止まるもんか ウィルソンが言う 止まってたまるか
俺だって止まらん ギルモアが言う 追い剥ぎに遭ってはたまらん
だがジョンソンは馬から降りて 森じゅうを探す
やがて裸の女が見つかった 髪を地面に留められて

女よ 女よ どうしてこんなところで縛られているのか
誰に連れてこられて この五月の朝 髪を地面に留められて
三人の不遜にして乱暴な 剣を振りかざす男たちに
ここへ連れてこられたのです この五月の朝 髪を地面に留められて

けれど私の父は裕福です 親切にしてくださればお礼はします
私の命 貴方にあずけます どうか私を護ってください
ジョンソンも 雄々しく豪胆なる勇者であるがゆえ
女が寒くないよう 上着を脱いで 掛けてやった

そして馬に乗り 女をうしろに乗せ
さみしい谷間を 運命に出会うべく下っていった
精一杯速く走っていると
女はさっと指を唇にあて 震える叫び声を三度上げた

跳び出したる三人の不遜にして乱暴な 剣を振りかざす男たち
止まれ とジョンソンに命じ 立て と命じた
立てと言われれば立とう とジョンソン
三人の人間など 怖かったことはない

そしてジョンソンは二人を殺し うしろにいる女のことは気にかけず
三人目に取りかかっている最中 女に刺し殺された
休みの日で 市が立ち 通りがかる人みな
この恐ろしい殺人を見たかもしれぬ 哀れジョンソンが死ぬのを見たかもしれぬ」

 次に紹介する詩は『キルデアの平原』と題された詩。

「おいでみなさん 愉(たの)しみを愛する人たちよ 俺の話を聞いてくれ
あの雄々しい競走馬 スチューボールの話だ
アーサー・マーブルっていう男が ここへスチューボールを連れてきた
キルデアの平原で ミス・グリーゼルと競走させた

こいつの評判は 前から聞いていた
けれど今回は 若きミセス・ゴアが相手
見目麗しい灰色の雌馬 ミス・グリーゼルに乗る
キルデアの平原で 金(きん)一万ギニーを争って

馬たちが連れてこられる サドル 鞭 馬勒(ばろく)とともに
紳士方が歓声を上げる 雄々しき騎手たちの姿に
やって来た馬たちを見て
みんなが賭けた モナハンの灰色の雌馬に

号砲が轟き 馬たちは飛び出す
スチューボールは矢のように 灰色の雌馬を追い抜く
もしあんたがそこにいて 馬たちが回るのを見たら
心底思ったことだろう こいつらの足 地面についてない

そしてとうとう コース半分回ったところで
スチューボールと乗り手が 話をはじめた
スチューボールが乗り手に言った なあ教えてくれよ
たったいま あの灰色の雌馬 俺からどれだけ離れてるかい

乗り手がスチューボールに言った 大したもんだぜ お前の走りっぷり
もうあの灰色の雌馬 半マイル近く引き離したぜ
このまま走り続けたら 誓って言う
絶対負けやしない あのモナハンの灰色の雌馬なんかに

ゴールポストも 難なく駆け抜けた
馬も乗り手も言った シェリーをよこせブランデーよこせ
そうして一緒に 気高い灰色の雌馬に乾杯した
あの馬が彼らのポケットを空っぽにしたのだから キルデアの平原で」

(また明日へ続きます……)