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増村保造監督『暖流』

2021-07-14 00:04:00 | ノンジャンル
 増村保造監督の1957年作品『暖流』をDVDで見ました。

サイト「MOVIE WALKER PRESS」のあらすじを一部加筆修正させていただくと、

「日疋祐三(根本淳)は病床にいる恩人の志摩博士から病院の建てなおしを依頼されて何年かぶりで東京の土を踏んだ。病院内は院長の息子泰彦(船越英二)の無能をよいことに、その腐敗は目にあまるものがあった。日疋は或る看護婦の自殺事件で看護婦の石渡ぎん(左幸子)と知り合い、彼女から病院内の情報を手に入れることになった。やがて日疋はぎんから愛情を寄せられるようになったが、彼は院長の娘啓子(野添ひとみ)に憧れに近いものを抱いていた。啓子の婚約者笹島の素行をなかば義務のように調べたが、その女性関係は乱脈をきわめていた。日疋はそれを啓子にありのまま伝えたが、啓子はかえって日疋を軽蔑した。そんな啓子も笹島の情事の現場に出あってから笹島の求愛を退けるのだった。院長の死は病院乗っ取り派の連中にはもっけの幸いだったが、日疋は関西の資本家(山茶花究)を動かすことに成功、新院長も決定し、乗っ取り派を追放することができた。病院が新しい組織と陣容で立ち直ったのを見た日疋は辞表を提出することに決めた。病院の内情を日疋に密告していたことを周囲に知られ、病院をやめ派出看護婦となったぎんは、最後の機会にと啓子を呼び出したが、啓子も今は日疋に愛情を抱いていた。二人は互いに日疋との結婚を胸に秘めて、冷たい空気の中で別れた。志摩家を訪れた日疋は、陽の傾いた波打際で、啓子から愛情を打ち明けられたが、「あなたは僕のことなんか考えないで、どこまでもあなたの夢を育てなさい。今日あなたとこんな静かに会えるのは、きっと僕が、石渡君と結婚の約束をしたからなんですよ」と、こう語るのだった。」

 以下はサイト「キネマ洋装店」からの引用です。
「左幸子のモーレツ恋愛ぶりはすさまじい。左独特のキャンキャンした声でしゃべりまくり、くるくるじゃれるように病院をかけまわり、洗濯物の波をかけぬけ、泣きながらブランコをこぎまくる。野良犬の仔犬のよう。
人目もはばらかず東京駅の改札口で飛び出てきて日疋をいきなりとっつかまえ、「情婦でも二号でもいいわ!待ってるわ!」と叫びちらして見送る。実にいいキャラである。
けだし名言であるのが野添にいうセリフ、「恋するってすれっからしになることなのよ」。
 一方、野添ひとみはその分ワリを食いそうなポジションであるが、実はかなりイイ。美しく可憐な顔をうつむかせながら、プライドと感情の狭間でゆらぐ女心。斜陽に向かっていく病院と頼りにならない家族のそばで、自分のポジションをじっくりと考え見据えている覚悟。
英二の「メケメケハモハモバッキャロー」「きみはぼくがすき~」などナゾの迷曲オンパレードが耳についてはなれない(笑)。特別出演丸山(三輪)明宏のゴテゴテコスチュームのシャンソンシーンも唐突。」 

 すでに畳みかけるようなセリフ回しは健在で、激情が激しくぶつかり合う様子が生々しく描かれていました。左幸子さんの名演ぶりにそれが顕著に現れている作品だと思いました。