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鈴木清順監督『ハイティーンやくざ』その7

2021-07-04 00:12:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

 小林「駅の改札口を増設する。地下道を作る。道路の完全舗装。街灯の完備。つまりこれが町の発展への運動なんだ。毎月2000円の会費で全てがうまく運んでもらえる。こんなうめえ会はないと思うんだがな」「しかし、うちだけそういう…」「いや、そういう訳じゃないんですよ。じゃあ、こいつに判を。頼みますよ」。裏口へ向かう二人。次郎、現われる。店主に「お金はきっとお返ししますよ。小林さん、この前のやつ、お断わりします」「断る? あ? あーここも野村興業のシマになったんだぜ。何があるのか知らねえが、堅気の商売の邪魔しちゃいけねえな」。次郎、ヤクザたちに囲まれ、歩く。ダンプカー。ヤクザら、次郎を前へ突き飛ばす。急ブレーキのダンプカー。「気をつけろ!」。渋滞。ヤクザ立ち、次郎を踏んだり蹴ったり。殴られても次郎は反撃しない。恵子「警察を!」。電話するが交番の警官は取り合わない。恵子「やめて!」。仲裁しようとするが、恵子も次々と突き飛ばされ、からかわれる。中華屋のおやじ「危ないじゃないか」母「ダメよ」恵子「どうして止めないの? 次郎ちゃん、何もしてないし、このままにしてたら、いつかおじさんも同じ目に会うのよ」
 恵子、警察に電話。
 和子「みっともない感じ」。走る恵子。「次郎ちゃん、大丈夫?」。道の向こう側に中華屋のおやじ。
 中華屋「まいどあり。あーやだやだ。どうして世の中は平穏無事にいかねえもんかな。(中略)この年になってケンカの仲裁もできねえんだ。だらしのねえ話さ」次郎「おやじさん、この前頼んどいた出前持ちの話、やっぱりダメかな。働いて~の金を返したいんだよ。町の人にかけた迷惑を少しでも返しておきたいんだ」「お前、本気でそう言ってるのか?」「もちろんだよ。野村興業に嫌われている俺を使うのがそんなに怖いのか? おやじさん」「う~ん、みっちゃん、ビール持って来い」和子「絶対反対よ。次郎みたいにイカさない子、私大嫌い。うちにとっても不名誉だわ」おやじ「母ちゃんが死んで不憫だと思ってこそ、今までお前のやってたこと大目に見てやってきたんだ。それが何だ。勉強もろくすっぽしないで、いい気になって遊んでやがる。お前の方がよっぽどイカさない子だ。一つぐらい父ちゃんの胸にグッとくるようなこと、やってみろ」「おやじさん、俺のことで親子ゲンカは困るよ」「いいんだ。いつか言ってやろうと思ってたんだ。分かったか? 和子」。駆け出す和子。「和子!」「おじさん、私が連れて来る」「しょうがねえ娘だ」。
「~さん、5つ出前!」。次郎、器を5個並べて「おじさん、頼むわ」「よーし、ハハハ、なあ、次郎ちゃん、来週立川に行ってもらおうかな? どうもこのところツキに見放されちゃったもんだからな。ゲン直しにあんたも一緒に行こう」「よっちゃんも一緒だといいんだがなあ」「いやあ、芳夫の奴はどうにもならねえ」「誘ってみるかな?」「やめときな」「やっぱり誘うわ。他に話もあるし」「おらー、やめといた方がいいと思うな」。和子が戻ってくる。
 野村興業の事務所。電話で芳夫「第6レースですね。第6レースは何枚ですか? 4-3と3-4の油目ですか。20枚。他はいいですか? ちょっと待って下さい」。他の連中も皆、電話対応。小林だけ顔に新聞紙をかけて、居眠り。芳夫「はい、もしもし、野村興業でございます。え? 土地? ええ、土地の方もやっておりますが。ええ、それじゃ、これから…」。次郎が部屋に入って立っているのに気づく。次郎、笑って「よっちゃん、ちょっと話があるんだよ」芳夫「この野郎、何でまた来やがったんだよう」(中略)芳夫が殴ってくるのをよける次郎。芳夫「みな、やっつけろ!」。小林「次郎が話があるそうだ。行ってやんなよ」「兄貴」「遠慮はいらねえぜ。昔なじみだ。失礼のないようにな」。出がけに芳夫に合図を送る小林。
 出前するおやじ。(中略)
 野村興業の事務所、盗み聞きするおやじ。小林「シュージ、あいつらはほっといてもいい」「兄貴、芳夫の野郎が…」「いいんだよ。あの金原のよぼよぼも、もう用なしだ。あいつからしゃぶったって、もう何も出やしねえよ。ちょうどいいあんべえじゃねえか。疫病神は追っ払って、次郎はしばらく病院行きだろ? 俺たちの目をつけるっていう寸法だ」。おやじ、盗み聞きしてるのがばれる。「毎度ありがとうございます」「毎度おせえじゃねえか」「この野郎、こっちへ持ってこい」。おやじ、ラーメンをぶっ飛ばし、「はばかりながらな、お前らに食わせるラーメンは珍来軒にはねえんだい」「何い?」。逃げ出すおやじ。

(また明日へ続きます……)