gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

まど・みちお『いわずにおれない』その3

2021-07-09 01:40:00 | ノンジャンル
 先日、映画『ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている』を観たとき、「多分この2時間半もある映画を観るより、彼女のライブを観た方がいいはずだ」という確信から買ったビリー・アイリッシュのアルバムが今日、届きました。題名は『ビリー・アイリッシュ When We All Fall Asleep, Where Do We Go? 』というもので、完全に圧倒されました! グラミー賞の授賞式を見ていると、ノラ・ジョーンズのように、彗星のごとく現れるアーティストというのがいますが、ビリー・アイリッシュもそのうちの一人だと思いました。ちなみにこのアルバムは彼女が18歳の時に作られたもので、彼女のデビューアルバムです。
、グラミーの主要4部門を受賞したものです。彼女の歌を聴いたことがない方は、アマゾンの安い中古品でいいので、彼女のアルバムを手に入れることをおススメします!!

 さて、また昨日の続きです。

・知人たちから「含羞(がんしゅう、恥じらい)の人」と呼ばれてきた詩人は、その内なる信念を声高に訴えたりはしない。〈とうとう/やじるしに なって/きいている/うみは/あちらですかと…〉という「するめ」のように、ユーモアとペーソスに包んで読む者にそっと手渡すのだ。

・「この地球は人間さまだけのためにあるのではなく、すべての生きもののために、このようにあってくれるんですよね。人間はその一員にすぎないのに、ほかの動植物の生活圏を削り取ったり破滅させたりしとる。食べるためだけならまだいいけれど、目先の便利さや安楽さを求めるために。」

・もし「キミはミソとクソとどっちに似てるか」と聞かれたら、どうお答えになりますか? すんません。私は根が下人なんで、年じゅうそういうことを考えとるんです。私ですか? 私でしたら「むろんクソのほうだ」って言下(げんか)に答えるだろうと思います。「クソを食べることはしないけど、ミソよりクソのほうが好きなんです」とね(笑)。」

・「あのね、人間っちゅうのもひとつの自然だと思うんですよ。大自然がつくってくれた小自然。人間に限らず生きものの脳は、なんとも絶妙な働きをしてますし、体だってじつにうまい具合にできている。私はお風呂が好きで、ぬるま湯に長く入るんですが、自分の体を見ていると、なんとも複雑で面白くて、詩に書きたいなぁと思うことがしょっちゅうあります。」

・「イライラしてパニックになるときもあるけれど、ボケのおかげで遭遇する世界のあまりの面白さに、たいていは二人で(奥さんと)大笑い。笑いのかけらもない老夫婦の索漠たる日常に突然笑いが生まれるんですから、ほんと天のお恵みだと思います。〈明日はまたどんな珍しいトンチンカンを/お恵みいただけるかと胸ふくらませている〉っちゅうのは、ほんと実感なんですよ。」

・「若い人は若いなりに、中年は中年なりに、年寄りは年寄りなりに、その年齢なりの発見が必ずあるんじゃないかなぁ。ぼんやり見過ごさずに一生懸命見れば、この世の中にハッとすることは無限に存在し続ける。そして、自分を震えさせてくれるものがあれば、詩は生まれてくるんだと思います。」

・「以前、谷川(俊太郎)さんが、私の詩について「自己表現の詩ではない」とおっしゃってました。「自分は消してしまって、その代わりに、自分が信じている宇宙の仕組みとか素晴らしさみたいなものが言葉で残ればいいと思ってるんじゃないか」っちゅうようなことを。あの方は、わずかな材料で人の本質を見通すようなところがあって、確かにそれが私の理想なんです。私には難しすぎて、死ぬまで無理でしょうけど。」

・童謡の作詞家として知られていたまどさんが、最初の詩集『てんぷらぴりぴり』(第日本図書刊)を上梓したのは58歳のとき。詩人としてのスタートはかなり遅いが、その後の40年近い歳月を、決して届かないと見極めた理想にほんのわずかでも近づこうと、ひたすらに歩み続けてきた。」

・「そうそう、ハサミの指を入れる穴があるでしょ。あの部分をメガネにして見ると、何が見えると思います? フフフッ、暇の本質が見える。年寄りは暇がありますから、こういうバカなことを思いつくわけですね。」

 編集者とまどさんの対談のあとに、その対談で言及されていた詩が掲載されているという構成を取った詩集でした。まどさんの詩はひらがなだけで書かれているものが多く、読んでいて新鮮に感じました。私は詩が苦手なのですが、まどさんの詩だったら、ついていけるような気がしています。