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小松左京『明日泥棒』

2010-03-22 18:40:00 | ノンジャンル
 小松左京さんの'65年作品「明日泥棒」を読みました。
 恋人のネネ子とケンカしたぼくは気晴らしに横浜の港の見える丘公園に行くと、そこで奇妙な言葉を話し、身長は150センチもなく両目が上下にロンパリの男・ゴエモンに話しかけられます。彼は自宅まで付いてきますが、夜の騒音をうるさく思った彼は音を消してしまいます。消音現象は日本列島を包み込む幅600キロの帯として世界を一周していることが分かります。ぼくは勤め先の音響機器メーカーの会議に呼ばれますが、ゴエモンのことを話すと彼と一緒に一旦会社の施設に幽閉されることになります。ところがCIAに誘拐され、その後再び日本の政財界の黒幕と言われる田村大三に誘拐され、幽閉されることとなります。ネネ子も呼ばれ三人で生活することになりますが、大三はゴエモンが会いたがっている天皇に会わせてやると言って彼の力で世界中の火器をすべて不発にすることに成功し、記者会見を開いてそのデモを行います。武器が使えなくなったことによって世界中で混乱が起こり、特に軍事力によって世界を牛耳っていたアメリカは多大な損害を受け、大三を捕えるように日本に圧力をかけてきます。大三はA城に籠城する覚悟で全国から武術者を集め守りを固めますが、米空軍は巨石を落とす攻撃をかけます。その音をうるさがったゴエモンは今度は石油が発火しないようにしてしまい、世界中の交通はマヒし、産業も打撃を受け、大恐慌に襲われます。そうした騒動に疲れ切ったゴエモンは宇宙に帰ることになり、ぼくは彼に元の世界に戻してもらうべきなのか、このままの世界にしておいてもらう方がいいのか、大いに迷うのでした。
 ゴエモンの描写の過度な軽妙さには抵抗感を感じるところもありましたが、後半のスケールの大きさにはやはり魅了されました。近未来のSFとして読みごたえのある小説だと思います。SF好きな方以外にもオススメです。