バンクーバー五輪が終わって、例のごとく各国のメダル数の比較が話題になっていますが、一つ一つのメダルの重さを考えれば、随分無神経な議論だと思います。そもそも国別のメダル数の比較自体が私はあまり意味がないことであると思うのですが、皆さんはどうお考えでしょうか?
さて、朝日新聞の特集記事「深いテーマ 忘れえぬ一冊」で挙げられていた、道尾秀介さんの'09年の短編集「鬼の蛩音(あしおと)」を読みました。
「鈴虫」は、私の好きな女性と付き合っている友人を私が埋めますが、実は彼はその女性に殺されていたという話。
「从(ケモノ)」は、家族の中で孤立している僕が、家族を全員惨殺した男のメッセージを見つけ、その男が不能の父の後妻に子供を産ませていた事実を知り、自分の抱えている問題の卑小さに気付きますが、僕は既に家族を皆殺してしまっていたという話。
「よいぎつね」は、20年ぶりに故郷を訪ねた私が、当時女性を強姦して殺した私を目撃しますが、女性は生き返って自分と入れ替わり、私が当時の自分によって埋められてしまうという話。
「箱詰めの文字」は、家族を事故で失い発狂した友人が書いた小説を自分のデビュー作として売り出した僕が、その過去を暴こうとする青年を殺し、それ以前にも何人も人を殺めていたことが分かる話。
「冬の鬼」は、火事で醜く焼け爛れた私の顔が映る夫の眼球を手術で取り出し、二人で幸せになる話。
「悪意の顔」は、同級生から虐めを受けていた僕が、物を取り込んでしまう絵を持っている女性によって、同級生の悪意を絵に封じ込めてもらいますが、それが原因で、その女性も絵に入り込んでしまうという話です。
どれもラストにどんでん返しが用意されていて展開が面白いのですが、皆主人公が一線を超えてしまう話で、その点に違和感を覚えました。文体はとても読みやすいものだったので、残念です。小説でも、やはり超えてはならない一線というのがあるのではないでしょうか? ということで、人の道を外れた話が好きな方にはオススメです。
さて、朝日新聞の特集記事「深いテーマ 忘れえぬ一冊」で挙げられていた、道尾秀介さんの'09年の短編集「鬼の蛩音(あしおと)」を読みました。
「鈴虫」は、私の好きな女性と付き合っている友人を私が埋めますが、実は彼はその女性に殺されていたという話。
「从(ケモノ)」は、家族の中で孤立している僕が、家族を全員惨殺した男のメッセージを見つけ、その男が不能の父の後妻に子供を産ませていた事実を知り、自分の抱えている問題の卑小さに気付きますが、僕は既に家族を皆殺してしまっていたという話。
「よいぎつね」は、20年ぶりに故郷を訪ねた私が、当時女性を強姦して殺した私を目撃しますが、女性は生き返って自分と入れ替わり、私が当時の自分によって埋められてしまうという話。
「箱詰めの文字」は、家族を事故で失い発狂した友人が書いた小説を自分のデビュー作として売り出した僕が、その過去を暴こうとする青年を殺し、それ以前にも何人も人を殺めていたことが分かる話。
「冬の鬼」は、火事で醜く焼け爛れた私の顔が映る夫の眼球を手術で取り出し、二人で幸せになる話。
「悪意の顔」は、同級生から虐めを受けていた僕が、物を取り込んでしまう絵を持っている女性によって、同級生の悪意を絵に封じ込めてもらいますが、それが原因で、その女性も絵に入り込んでしまうという話です。
どれもラストにどんでん返しが用意されていて展開が面白いのですが、皆主人公が一線を超えてしまう話で、その点に違和感を覚えました。文体はとても読みやすいものだったので、残念です。小説でも、やはり超えてはならない一線というのがあるのではないでしょうか? ということで、人の道を外れた話が好きな方にはオススメです。