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長嶺超輝『裁判官の爆笑お言葉集』

2008-07-21 15:27:58 | ノンジャンル
 昨晩にNHK教育で放送されたマキノ雅弘監督生誕100年を記念する番組を見て、映画評論家の山根貞男氏が顔つきもしゃべり方も山本晋也監督にそっくりになってきたことに笑い、マキノ監督の長女佐代子さんがとても若く30代に見えることに驚いたりしました。

 さて、確か阿曽山大噴火さんの「被告人、前へ」で紹介されていた、長嶺超輝さんの「裁判官の爆笑お言葉集」を読みました。
 北尾トロさんや阿曽山大噴火さんのような東京地裁を傍聴して本を書いてきた人によると、裁判は大半がつまらないものということなので、この本もあまり期待しないで読み始めましたが、案の定面白くない発言が多く収録されていました。しかも最後に参考文献が山のように紹介されていましたので、ネタになる発言があまりなく、無理矢理集めた様子が垣間見えたような気がしました。
 本の形式は、発言の紹介とどういう裁判のどういう場で発言されたのかが1ページ、感想が1ページという簡素なものです。
 そうした中でも面白かったものを書きますと、まず、オウムの松本智津夫被告人に対しての「しっかり起きてなさい。また机のところで頭打つぞ。」というタメ口。そしてこの阿部裁判長は219回の全公判で1度も同じネクタイを着用していなかった、という話。これ、誰がチェックしていたんでしょう?  裁判長の知り合いで熱烈なファンが初公判からずっと調べていたのでしょうか?  私は本人がどこかで発表したのに違いないと思うのですが‥‥。
 他には、定説で有名になった教祖が著書の中で「食事はエビ・ソバ・トマトだけ」と書いているのに、勾留中は出された弁当や味噌汁をおいしそうに食べていたということ、「刑務所に入りたいのなら、放火のような重大な犯罪でなくて、窃盗とか他にも‥‥。」という裁判長の犯罪を勧めているような発言、民事訴訟で使われる、いちいち証拠を出して証明する必要がないほど広く知られた、という意味の「顕著な事実」として、「寿司」と「うなぎの蒲焼き」が異なる食品であることが裁判で述べられたこと、「暴走族は、暴力団の少年部だ。犬のうんこですら肥料になるのに、君たちは何の役にも立たない産業廃棄物以下じゃないか。」という裁判長の罵倒、「飲酒運転は、昨今、非常にやかましく取り上げられており、厳しく責任を問われる。時節柄というか、そう簡単に済まされない。」という裁判長の「時節柄」発言、「今、ちょうど桜がよく咲いています。これから先、どうなるかわかりませんが、せめて今日一晩ぐらいは平穏な気持ちで、桜を楽まれたらいかがでしょうか。」と検察側の控訴が控えているが地裁では無罪になった被告人に対する裁判官の過剰な心遣い、「今年のゴールデンウィークは、家族と平穏な気持ちで過ごしてください。」と、暴走族の暴力に反撃して何と傷害の罪に問われた被告人に対するこれも過剰な心遣い、「この時期に、あなたを見ていて思い出した小説があります。チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を知っていますか。」という、嫌われ者の金貸しが、見た夢をきっかけに貧しい人にお金を与えるようになったという小説を、老人を騙して高金利の金貸しをしていた被告人に裁判官が言った一言、「電車の中では、女性と離れて立つのがマナーです。」という訳の分からぬ発言、「今回は子どもの足を焼いたが、これからはわが身を焼く思いで、自分の子どもにとって何が最善か、よく考えるようにしなさい。」という、子どもの足の裏をライターで炙った(焼いたのではない!)親に対するシャレてる場合ではない発言、刑事裁判での有罪率が約99.92%(2005年)という事実、アメリカの裁判で、退役軍人記念公園の施設を壊した少年らに対し、社会奉仕活動と映画「プライベート・ライアン」の鑑賞を命じる判決が言い渡されたこと、などです。
 裁判の効率化を考えた時、著者はこうした裁判官の発言は歓迎されないのかもしれない、と述べていますが、他の裁判の傍聴に関する本と同じように、自分で実際に傍聴することを勧めています。今まで読んできた傍聴に関する本と比較すると物足りなさは感じますが、暇つぶしにはなるのではないでしょうか?