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宮田珠己『ジェットコースターにもほどがある』

2008-07-18 18:58:18 | ノンジャンル
 「アジア四次元日記」からファンになった宮田珠己さんの'02年作品「ジェットコースターにもほどがある」を読みました。
 日本のジェットコースター乗りまくり日記かと思ったら、冒頭の写真は何とアメリカのジェットコースター、でビックリ! しかも読みはじめるとすぐに、アメリカの遊園地はジェットコースターを4個、5個持つのは当たり前と知って、またビックリ! アメリカは世界で唯一のジェットコースター大国でもあったのでした。そして数々のビックリするコースターを紹介していき、日本では富士急ハイランドのドドンパとナガシマスパーランドのスチールドラゴン2000が日本一のコースターのしのぎを削っているというのも初めて知りました。
 しかしこの本の醍醐味は何といっても著者特有のユーモアにあふれた文体でしょう。まず、宮田さんの妄想コースターです。アメリカにはバットマンとかスーパーマンとかヒーローの名前をつけたコースターが多いので、日本でもウルトラマンや仮面ライダー、子供っぽいというのなら、座頭市はどうか、と書いた後、「『座頭市』は目が見えないので、室内の真っ暗闇を失踪するコースターである。勝新の殺陣のように素早い動きとめまぐるしいカーブが特徴なのだ‥‥、ん、それは東京ディズニーランドにある『スペースマウンテン』と同じではないか。ダメだ。
 では、『健さん・ザ・ライド』はどうだ。腰が低いけどいざというときはめっぽう強いコースターで、大きくうねりながら空間を鋭く切り裂き、ばったばったと敵を倒したり、急旋回したり、お控えなすったりするのである。面白そうではないか、と思ったらテレビコマーシャルで健さんが、『まっすぐでいいんじゃないですか』と言っていた。まっすぐでいいのかもしれん。」という脱線ぶり。
 それからフリーフォールで頂点に達し、止まったままなかなか下りないので、「長いぞ。なぜちっとも落ちないか。下から見ていたときはもっとテキパキ落ちていた。おかしい。壊れたんじゃないか。絶対おかしい。こんなに時間がかかるはずがないのである。ちょっとして本どぅわああああああああああああ。
 ‥‥というわけで、怖かったんだけれども、(後略)」とここまで書かれると、もう名人芸です。
 そして一番笑ったのは、翻訳ソフトで新しいジェットコースターを紹介する英語サイトを訳した結果です。「一挙に、公園での最も大きな資本を持った投資は30年の歴史です」「マジック山が15台のローラーコースター、天地創造説での他のいかなる遊園地よりもいっそう多くにホームになります。それは乱暴、友人たちなくなった世界です」「2対の席が横木システムのいずれかの側面から離れて広がるという状態で、我々は5トンの幅20フィートの車の中に我々自身をひもで結びつけるでしょう」このような訳があと7つ並び、最後に「それは世界中ぼんやりのためにいい知らせです」で終わる、ホントにこんな翻訳ソフトが8000円で売っているのかなあ、という凄さです。
 宮田さんは本当にいろんなものに興味を持ち、本が変わるとがらりと題材が変わるところが奥が深いというか、次に期待してしまうというか、さすがフリーライターだなあ、と思います。今のところ、この本を含めて4册の本を読みましたが、皆すごく楽しませてもらいました。次の本を読むのが楽しみです。